製品を通じた社会課題の解決

TOYO TIREは創業以来76年にわたり、たゆまず技術革新を積み重ね、社会の変化や進化を捉え、社会課題の解決に貢献する製品・サービスを世界中のお客さまにお届けしてきました。

TOYO TIREの革新的なテクノロジー

TOPIC
ゴム材料基盤技術の進化
12.つくる責任 つかう責任

材料開発領域においても、AIや機械学習が活用され始めるなど、目まぐるしい変化が訪れています。当社では独自のゴム材料開発基盤技術「Nano Balance Technology(ナノバランステクノロジー)」の継続的な技術革新に取り組んでおり、その一環として、新たにマテリアルズ・インフォマティクス(以下、MI)*を利用した、ゴム材料の特性予測技術や配合設計支援技術を開発しました。
当社では、資産としてストックした既存データをベースに、2018年よりMI技術を用いた配合と物性の予測技術の検証を開始し、技術精度の向上や効率化に取り組んできました。今後は保有データをフルに有効活用できる環境整備、さらに従来にない視点での解析方法や予測データを用いた開発を進め、「高性能な製品開発」と「開発時間短縮・コスト低減」の両立を図っていきます。

*AIなどを用いることで、従来手法に比べ、新規材料や代替材料の探索などを効率よく行うことが可能となる技術

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多様な人々の社会参加を支える

日本をはじめとする先進国では、急速に進む人口減少や高齢化、あるいは自然災害などにより生じる交通弱者への対策が課題です。TOYO TIREは製品・サービスを通じて、多様な人々の社会参加を支えるモビリティ社会に貢献しています。例えば、当社グループが生産するトラック・バス用タイヤは世界の物流網や公共交通網を支えています。当社製品の耐摩耗性、低燃費性は、取引先や利用者の方々から高い評価を得ており、今後も多様化するドライバーや乗車する皆さまの安全で快適な移動を実現する製品を提供していきます。

顧客ニーズの高度化への対応

社会環境の変化とともに、モビリティにかかわる人々の価値観や当社グループに対するニーズも高度化しています。当社グループはステークホルダーから要望のあった課題を解決し、タイヤメーカーならではのメンテナンス・ソリューションの構築を進めています。
当社では、運輸車両の個別運行状況に応じたタイヤの状態変化や走行環境状況を自動的に収集・蓄積するシステムを開発し、運輸車両に使用されるトラック・バス用タイヤの使用状態を推定するモデルを構築しました。今後は運輸業向けのビジネスモデルとして確立していくための検討を進めていきます。
課題解決のほかにも、新しい気づきや喜びを提供することを目標とした製品開発に取り組んでいます。当社が開発した近未来型エアレスコンセプトタイヤ「noair(ノアイア)」は、ガソリンスタンドのセルフ化や電気自動車の自宅充電、カーシェアリングの普及など、モビリティ社会の新たなニーズに対応するため、メンテナンスフリーの追求とスペアレスソリューションの具現化を目指しています。noairは2017年に、エアレスタイヤとしては業界に先駆けて、乗用車装着での高速走行が可能なレベルへ到達し、製品技術を確立させました。現状はエアレスタイヤに関する法制度が整っておらず、一般公道での走行が認められていないため、小型モビリティへの装着を想定し、実用化へ向けた取り組みを進めています。

TOPIC
2020年度グッドデザイン賞をタイヤ3商品が同時受賞
12.つくる責任 つかう責任 12.つくる責任 つかう責任

公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、2020年度グッドデザイン賞に、当社の乗用車用スタッドレスタイヤ「OBSERVE GIZ2(オブザーブ ギズ ツー)」、オールシーズンタイヤ「CELSIUS(セルシアス)」、トラック・バス用オールウェザータイヤ「M646(エムロクヨンロク)」の3商品が同時受賞いたしました。
3商品に共通する特徴として、路面と接するトレッド面に機能的な役割を発揮する要素が凝縮された、当社独自のパターンデザイン技術があげられます。気候や路面状況といった使用環境だけでなく、お客様ニーズの変化を的確に捉え、時代にマッチした製品開発を行なう姿勢を具現化したものとして評価されました。今後もマーケットの情報を広く収集し、タイヤに求められる性能の進化を追求しながら、付加価値の高い製品開発に取り組んでまいります。

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TOPIC
人工知能(AI)·デジタル技術を活用した
タイヤセンシング技術コンセプト発表
3.すべての人に健康と福祉を 12.つくる責任 つかう責任

モビリティ社会が100年に一度の変革を迎える中で、自動車用タイヤには、車両の運行管理やメンテナンス支援を行うための情報提供機能が求められていると当社は考えています。そこで、路面と接する唯一のパーツであるタイヤを情報取得デバイスととらえ、活用することで、新たな付加価値を創造する構想を進めています。その中で、走行中のタイヤパフォーマンスを可視化する、タイヤセンシング技術を開発しました。タイヤに取りつけたセンサーから、路面や摩耗状態を検知してパフォーマンス力を推定することで、走行中タイヤのグリップ力の現状をデータとして把握、表示することができるようになります。これは走行している路面状態に求められるタイヤ性能と、走行中のタイヤが持つ「タイヤ力*を発揮できているかの可視化を実現します。現在は当社のタイヤテストコースで実車装着・実路走行を実施し、リアルタイムでのデータ収集を進めています。
今後も「タイヤセンシング技術」を用いてさらなるモビリティ進化の実現に寄与できるよう外部との共創を進めます。

*タイヤからインプットされる空気圧や温度、路面判別、荷重、摩耗、異常といった情報から推定される、実際のタイヤパフォーマンスを指す

“” 可視化された「タイヤ力」のイメージシミュレーションによるCG再現

気候変動に対応する

モビリティ業界では、低燃費・低排出ガス技術の向上や、エンジン車に代わる次世代モビリティの開発など、今後想定される気候変動のさまざまな影響に対応する技術開発に積極的に取り組んでいます。当社も、エネルギーロスを抑制する素材加工技術や低燃費タイヤ、次世代モビリティ用自動車部品などの開発に取り組んでおり、それらの製品をグローバルに展開することで、モビリティ業界における気候変動対応に貢献しています。

TOPIC
気候変動に伴う季節要因の変化を重視した「OBSERVE GIZ2」を発売
12.つくる責任 つかう責任

気候の変化により、日本の降雪地帯の一部地域では厳冬期の日中気温が上昇する傾向にあります。そのため、1日の寒暖差によって、雪が解けた状態であるシャーベット状のウェット路面から、濡れた路面が凍結したアイス路面への変化が生じます。このように気温によって路面状況が左右されることに対応できる性能がスタッドレスタイヤには求められています。
こうした気候変動に伴う季節要因の変化に対応できるよう、地球温暖化時代の日本の降雪期に求められる性能を追求した「OBSERVE GIZ2」を新たに発売いたしました。ウェット性能を高め、路面変化に対応できるだけでなく、ゴムの経年変化による氷上での摩擦力低下を抑制し、性能を長持ちさせるように設計しています。
今後も気候変動の影響によって生じうる車両走行時の変化を予測し、いかなる時も安心安全に移動いただけるタイヤの開発に努めます。

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資源枯渇への対応

多くの天然資源には限りがある中、気候変動や人口増加がもたらす資源不足の解決は社会の持続可能な成長に不可欠です。当社は、新機能性ゴムや持続可能な原材料(サステナビリティ材料)等の次世代材料の研究や耐摩耗性能の高い素材・製品の開発など、設計段階から各工程での省資源化に取り組んでいます。例えば、当社独自技術である「Nano Balance Technology(ナノバランステクノロジー)」を用いて資源特性を最適化することで、高い耐摩耗性能を維持しながら大幅な低燃費化を実現する新たな開発プロセスを確立しました。この技術を採用した製品は2019年春より供給を開始しており、製品の長寿命化による省資源化に貢献しています。