G:コンプライアンス
取り組むべき課題
健全な企業文化とビジネス慣習の浸透
取り組み方針
当社グループ全役職員がコンプライアンスを最優先させる意識を保持し、コンプライアンスの実践を徹底しています。
活動推進体制(2024年4月現在)
コンプライアンス推進体制
当社グループにおいて、当社社長はコンプライアンスを経営における最優先事項とし、コンプライアンス体制の整備および改善に努めています。
コンプライアンスの推進に関する協議・検討機関として、経営会議傘下の専門委員会の一つにコンプライアンス委員会を設置するとともに、コンプライアンスオフィサー制度のもと、チーフコンプライアンスオフィサー(CCO)、コンプライアンスオフィサー(CO)およびコンプライアンスリーダー(CL)が主体となり、コンプライアンスの推進を図っています。
コンプライアンス委員会は、取締役会で選任されたCCOを委員長として、原則年4回開催され、協議された内容について年2回、取締役会の監督下にある経営会議に報告されています。また、コンプライアンス推進活動状況については、適宜取締役会にも報告されています。
CCOは当社グループ全体、COはその担当部門におけるコンプライアンスに関する事項について、調査権、指示命令権(業務・出荷の停止等を含む)および提案権を有しており、コンプライアンス事案の発生時にはCCOが外部専門機関へ報告・相談する体制も整えています。CLは、COを補佐して各職場でさまざまな活動を推進する一方、コンプライアンス事案(その疑いも含みます)を認識・把握した場合には、部門長およびCOへ報告することが求められています。コンプライアンス事案がCOに報告されると直ちに調査および必要な対応がとられ、その後再発防止策の策定がなされる仕組みとなっています。原則として、コンプライアンス事案は社内で公開されており、身近に同様の事案がないかの調査、法令または社内ルールの再確認、同様の事案が発生した場合の対処方法を参考にするなどに活用しています。
コンプライアンスの取り組みについては、今後もその有効性について定期的に評価し、必要に応じて更新していきます。
腐敗行為および贈収賄行為の防止の推進体制
当社グループは、「腐敗行為・贈収賄行為の防止に関するグローバル方針」を策定し、2019年より運用しています。取引先に対しては、CSR調達ガイドラインに腐敗防止に関する事項を定め、取り組みを要請しています。その運用や社内外への浸透、モニタリングについては、コンプライアンス委員会、コンプライアンス・リーガル部門、購買部門、各拠点の総務部門において適切に実施されています。
- ※TOYO TIRE株式会社
苦情処理システム(窓口)
- ホットライン相談窓口(内部通報制度)…【対象】役員、従業員、取引先
- お客様相談室…【対象】顧客(消費者)、地域社会
- Webお問い合わせフォーム…【対象】顧客(消費者)、株主・投資家、NGO
- 労使懇談会…【対象】従業員
- 独占禁止法遵守相談窓口…【対象】従業員
- IRミーティング…【対象】株主・投資家
- ハラスメント相談窓口…【対象】役員、従業員
活動を推進する主な資本
コンプライアンスオフィサー(2024年4月現在):25名
コンプライアンスリーダー(2024年4月現在):109名
取り組み
企業行動憲章と行動基準の浸透と研修
当社グループは、誠実に事業活動を行うためのグループ各社共通の行動原則として「TOYO TIREグループ企業行動憲章」を、そして役員・従業員一人ひとりが企業行動憲章を実践するために「TOYO TIREグループ行動基準」を定めています。企業行動憲章、行動基準については有効性を定期的に評価・検証し、改定の必要が生じた場合は、取締役会において決議しています。当社グループの役員・従業員一人ひとりがとるべき基本的な行動を定めた「行動基準ハンドブック グローバル版」を世界共通版(日本語、英語、ロシア語、ドイツ語、イタリア語、中国語、タイ語、マレー語、ポルトガル語の9カ国語に対応)として作成し、グループ従業員一人ひとりへの浸透とコンプライアンス強化に取り組んでいます。また、別途セルビア語の翻訳版も作成しています。
日本国内では行動基準の浸透を図るツールとして制作した「行動基準ハンドブック」または、製造現場、営業現場向けに身近で具体的な事例を解説した「行動基準ハンドブック副読本」を用いた読み合わせ研修を、グループ会社を含む全ての役員・従業員で毎年実施し、研修終了時には、各自がコンプライアンスを推進する旨を表明する誓約書を提出しています。
各地域の研修例
当社グループ各社では、自社のコンプライアンスリスクに即したテーマで、研修等を実施しています。例えば、2023年において、マレーシアの子会社では、マレーシア汚職防止委員会から講師を招いた腐敗防止に関する講習会や、コンプライアンスの知識を競うクイズ大会を開催しました。中国の子会社では、外部弁護士による安全生産に関するコンプライアンスセミナーや、取引先の一部に対する法令遵守講習会を開催しました。またメキシコの子会社では、毎月コンプライアンス研修の機会を設け、様々なテーマを幅広く取り扱うことで、コンプライアンスの強化を図りました。
コンプライアンス意識調査の実施
当社では、コンプライアンスに関する従業員の意識を把握し、今後の取り組みに活用することを目的として、毎年定期的に、従業員にコンプライアンス意識調査を実施しています。
2023年コンプライアンス意識調査結果…回答率89%(2022年89%)
- コンプライアンスの推進活動の実施
- この1年間にコンプライアンス意識向上の取り組みが1回以上行われた 94%(2022年94%)
- コンプライアンスの認知・理解度
コンプライアンスの意味について知っている 89%(2022年88%)
- ※TOYO TIREのコンプライアンス:単に法令遵守をさすのではなく、法令や社内ルールを守り、高い倫理意識を持って行動すること。
- コンプライアンスの定着度
自身が業務を遂行するにあたって、コンプライアンスを意識している 94%(2022年94%)
担当者コメント
内部通報制度の運用
当社グループは2006年から内部通報制度を運用しています。日本国内では社内外に、役員、従業員および取引先が利用可能なホットライン相談窓口(匿名通報に対応)を設置しています。顧客や一般の方々にはお客様相談室やWebお問い合わせフォームを設けております。
日本国内相談窓口の認知度
反競争的行為禁止の取り組み
当社グループは各国の競争法関連法令の遵守を徹底するために、遵守体制・制度の構築、教育・啓発活動等を推進しています。具体的には、当社においては、「カルテル防止規程」に基づき、営業担当役職員を対象に、競合他社との接触に係る事前申請書、事後報告書、除外申請書の提出および独占禁止法遵守に関する誓約書の提出を義務づけています。また、独占禁止法遵守相談窓口の設置、監査部門による「カルテル防止規程」遵守状況の監査、関係者に対する研修(eラーニングを含む)等を実施するなど、積極的に法令遵守のための取り組みを行っています。
腐敗防止の取り組み
当社グループは、健全な事業活動の基本として、公正性と透明性の確保に努めています。腐敗行為および贈収賄行為が発覚した場合、巨額の罰金や関係者の身柄の拘束だけではなく、取引中止や社会的制裁など企業価値を著しく毀損する危険性があることを認識し、そのような行為の防止を企業の社会的責任の一つとして取り組んでいます。具体的には、「腐敗行為・贈収賄行為の防止に関するグローバル方針」「贈収賄防止規程」を制定し、業務のなかで適切に運用されるよう、浸透活動を展開しています。また、2023年は、当社国内グループ従業員(PCアカウント保持者)を対象に贈収賄防止に関するeラーニングを実施しました。
なお、国際NGOのトランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)が調査・公表した2023年の腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index:CPI)により、当社グループが事業所を設置している国や地域の腐敗行為が起こりうるリスクについて評価しており、CPIが50を下回ると評価される国や地域における事業活動においては特に注意が必要と考えています。
また、当社は腐敗行為の一つであるインサイダー取引の未然防止活動として、国内グループ会社の次席級以上の管理職に対しインサイダー取引防止eラーニングも実施しました。
腐敗に関する違反事例
2023年、腐敗に関連した罰金・罰則など法的処罰を受けた事例はありません。
また、腐敗に関する当社社内規程に違反した従業員の解雇事例もありませんでした。
コンプライアンス違反
2023年、コンプライアンスに関わる事件・事故での刑事告発はありません。
環境および社会経済分野における法規制遵守の状況
2023年、当社グループにおいて環境および社会経済分野の違反による制裁措置はありません。
製品およびサービスの安全衛生インパクトに関する違反事例
当社および当社の関係会社が引き起こした過去の不正問題に対し、再発防止に取り組んでいます。2023年12月末時点の建築用免震ゴムの交換状況は、対象物件154件すべてに着手しました。引き続き工事の安全確保を最優先に交換改修を遂行いたします。
なお2022年は製品およびサービスの安全衛生インパクトに関する違反事例の発生はありませんでした。
- 当社の再発防止の取り組みに関する進捗状況についてはこちらをご参照ください。
2023年は新型コロナに関する規制が緩和され、国内外で人の往来が飛躍的に多くなるなど、社会環境・ビジネス状況が大きく変化した年でしたが、調査の全体を通じて、コンプライアンスに対する「認知・理解・意識」が高いレベルで維持されておりました。さまざまな環境の変化に関わらず、各職場で堅実にコンプライアンス推進活動が行われていたことがうかがえる一方、引き続き改善を要する課題も浮き彫りになりましたので、改善に向けた取り組みを行っていきます。加えて、引き続き、各職場と連携しながらコンプライアンス活動内容の検討を進め、より深いコンプライアンス意識の浸透に取り組んでいきます。
TOYO TIRE株式会社
コンプライアンス・リーガル本部
コンプライアンス推進部
山岸 幸子