G:健全なガバナンス
取り組むべき課題
- 社会要請に応え、その存在価値が評価・期待され続ける企業経営
取り組み方針
当社グループは、実効的なコーポレート・ガバナンスの実現を目的として、コーポレートガバナンス・コードの原則を適切に実践します。株主の権利・平等性を確保し、株主以外のステークホルダーとの適切な協働及び対話に努め、そのための適切な情報開示と透明性の確保に取り組みます。
取締役会は、株主に対する説明責任を踏まえ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上のため、収益力の向上、資本効率の改善などを図る役割・責務を適切に実践します。
当社の理念体系を成す「社是」「私たちの使命」「私たちのありたい姿」「私たちの持つべき価値観」に掲げられている考えを実践し、ステークホルダーの期待に応え、企業価値の向上を図るべく、経営の透明性と効率性を追求し、適切な経営体制の維持・構築を目指し、コーポレート・ガバナンス、内部統制システム、コンプライアンスの強化をより一層図ります。
その理念の体現に必要不可欠であるコンプライアンスの強化の取り組みにおいて、誠実に事業活動を行うためのグループ各社共通の行動原則として「TOYO TIREグループ企業行動憲章」を、そして役員・従業員一人ひとりが企業行動憲章を実践するために「TOYO TIREグループ行動基準」を定め、グループ全体への浸透を図っています。企業行動憲章、行動基準については適宜見直しを行い、改定の必要が生じた場合は、取締役会において決議しています。
英語版・中国語版は以下をご参照ください。
責任(2024年4月現在)
執行役員 コーポレート統括部門管掌
活動推進体制(2024年4月現在)
コーポレート・ガバナンス体制
コーポレート・ガバナンス体制として、意思決定・監督機関である「取締役会」、その下に取締役の人事・報酬等に関する取締役会の諮問機関である「指名報酬委員会」を設置しています。また、執行の意思決定機関である「経営会議」、分野別の審議・協議機関である「各種専門委員会」、そして取締役会および取締役の職務執行の監査機能を果たす機関として「監査役会」があり、それぞれ機能を十分発揮できる体制を整えています。
取締役会は原則月1回開催し、代表取締役及び役付取締役の選定、経営の基本方針の決定、重要な投資計画の承認、株主総会の招集及び株主総会に付議すべき議題並びに提出すべき議案と書類(計算書類・附属明細書を含む)の決定または承認、業務執行状況の報告を行うなど、重要事項の決定や取締役の業務執行状況の監督を行っています。社外取締役は、取締役会に出席し、活発に意見を交わして、経営の監視・監督に努めています。また、取締役会は経営会議及びサステナビリティ委員会において審議・報告された、経営上の重要なリスクについて定期的に報告を受け、リスク管理の監督及び実効性評価を行っています。
取締役会の諮問機関として設置している指名報酬委員会は2023年度において2回開催し、役員候補者、役員報酬方針及び役員報酬額等について審議し、取締役会に対して助言・提言・答申を行っています。
社内取締役に当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与え、株主の皆さまとの一層の価値共有を進めることを目的とした、譲渡制限付株式の付与のための金銭報酬債権制度を導入しています。
なお、当社は利益相反を適切に管理しています。当社が選任した社外取締役は一般株主との間に利益相反が生じる恐れはないと判断し、独立役員として届け出ています。また取締役会に関して定期的に外部評価を実施することで、取締役会および各委員会の機能性と実効性を確保しています。
ガバナンス構造(2024年4月現在)
名称 | 年間回数 | 議長/委員長 | 内容 |
---|---|---|---|
監査役会 | 15回 | 常勤監査役 | 取締役会および取締役の業務執行の監査 |
取締役会 | 17回 | 会長 | 意思決定・監督機関 |
経営会議 | 24回 | 社長 | 執行の意思決定機関 |
サステナビリティ委員会 | 4回 | 社長 | 当社およびそのグループ会社のサステナビリティに関する重要課題およびサステナビリティ経営を強化・推進していくための方針・戦略を審議 |
コンプライアンス委員会 | 4回 | チーフコンプライアンスオフィサー | 当社およびそのグループ会社のコンプライアンスの推進、充実および強化を図るための協議および検討 |
危機管理委員会 | 4回 | 危機管理統括 | 危機事象への対策の企画および管理に関する議題について審議、並びにリスクマネジメントの継続運用 |
組織人事委員会 | 4回 | 社長 | 組織人事関連の重要課題について審議 |
技術委員会 | 12回 | 技術統括部門管掌 | 経営ビジョン・中期経営計画の実現のために、コアコンピタンスとする基盤技術・先行技術の強化に関する重要事項、および技術全般に関する重要事項について審議 |
品質保証委員会 | 4回 | 品質環境安全統括部門管掌 | 当社およびそのグループ会社の全社的な品質保証体制を推進、運営するための基本方針、方策等を策定するとともに、重大品質問題の対応策を審議し、品質保証担当部門を中心とする各部門に対して、方針、方策または対応策等を実施 |
投融資委員会 | 27回 | 経営管理本部長 | 当社およびそのグループ会社の投融資について審議 |
内部統制システム
会社法に基づき、内部統制システムの構築に関する基本方針を取締役会で決議し、体制の整備を図っています。基本方針については、経営環境の変化などに応じて毎年見直しを行い、一層実効性のある内部 統制システムの整備・運用に努めるとともに、見直し内容については取締役会で決議されています。
危機事象へ発展する恐れがあるコンプライアンス事案など懸念事項に対して、従業員が直接通報・相談できる仕組みとして「ホットライン相談窓口」を設置、運営しているほか、通報できるルートを複数確保し、必要な情報がガバナンス機関へ上がりやすい体制を整えています。
- ※TOYO TIRE株式会社
苦情処理システム(窓口)
- ホットライン相談窓口(内部通報制度)…【対象】役員、従業員、取引先
- お客様相談室…【対象】顧客(消費者)、地域社会
- Webお問い合わせフォーム…【対象】顧客(消費者)、株主・投資家、NGO
- IRミーティング…【対象】株主・投資家
活動を推進する主な資本(2023年)
- 役員報酬総額(2023年)
- 取締役(10名)…264百万円 ※上限450百万円/年
- 監査役(6名)…65百万円 ※上限80百万円/年
- ※上記員数及び報酬等の総額には、社外役員(社外取締役及び社外監査役)8名に対する報酬69百万円を含む。
- ※また、上記には2023年度中に退任した取締役2名及び社外監査役1名に対する報酬を含む。
- ※上記報酬等の総額には2023年に計上した役員賞与引当金85百万円を含む。
- ※上記取締役の報酬等の総額には、譲渡制限付株式の付与のための報酬額として10百万円を含む。
取り組み:コーポレート・ガバナンス
理念の浸透
当社グループでは、2017年の理念制定以降、すべての役員および従業員が理念を仕事の基軸として取り組むべく浸透活動を展開しています。
当社グループが大切にしていきたい思い、考えを「言葉」に示した理念では、将来にわたって継承し続けていく大切な創業の精神として、「社是」をその最上位概念として位置づけ、社会における自らの存在意義を「私たちの使命」として定義、それを果たすためにめざすべき企業像を「私たちのありたい姿」として明文化しています。また、すべての役員・従業員が等しく大切にしていきたい考えの拠りどころとして「私たちの持つべき価値観」を定めています。
2021年2月に発表した新中期経営計画「中計’21」においても、理念を実現していくことが当社の存在意義であり、経営計画は理念の実現のためにあることを明確に示しました。
理念浸透を継続して図るため、各種社内研修の最初のプログラムに理念講義を導入しています。また、部門長向け研修では、職場に理念とひもづいたビジョンや戦略を浸透させることの重要性を理解するためのケースワークのほか、各職場の理念浸透の状況を紹介し合うグループワークを行っています。研修を通じて他部署の課題や取り組みが共有されたことで、理念浸透への意識が高まる有意義な機会となりました。
入社一年が経過する社員が対象のフォローアップ研修においては、自身の職務を振り返り、仕事を通じて理念をどのように体現していくかを考える研修を設けています。また、理念を策定した背景や会社の歴史を紐解く講話を映像アーカイブとして収録、社内イントラネットに掲出し、定期採用社員・中途採用社員にも視聴してもらうようにしています。
今後もさまざまな立場、階層の従業員に、理念をいかに職場で体現していくか、グループワーク等で話し合う場を設けていきます。
取締役会の取り組み
取締役会は、取締役8名(うち社外取締役4名)で構成しており、経営方針・目標・戦略などの重要事項に関する意思決定及び取締役の業務執行状況を監督しています。2023年は臨時も含め17回開催しました。また、社外取締役は、取締役会をはじめ重要な会議に出席し、活発に意見を交わして、経営の監視・監督に努めています。
取締役会は、経営会議及びサステナビリティ委員会において審議・報告された、経営上の重要なリスクについて定期的に報告を受けることにより、リスク管理の監督及び実効性評価を行っています。
取締役会の実効性評価
当社では持続的成長と中長期的な企業価値の向上のため、2017年から毎年、取締役会の運営・構成・活動等に関する分析及び評価を行い、取締役会の機能向上を図っています。なお、公正性を担保するため、集計及び評価は第三者機関に委託しています。
今年度の主な変更点は評価項目です。従来、取締役会の構成及び運営、取締役会での議論の充実度等に関する内容としていますが、コーポレート・ガバナンスで求められる新たな視点として、サステナビリティに関する設問を追加しました。
評価の概要
評価主体 | 各取締役・監査役による自己評価及び第三者機関による評価 |
評価手法 | アンケート方式(全18問) |
回答方式 | 5段階評価として、設問ごとにコメントを記載 |
評価項目 |
→取締役会の規模・構成・運営状況、情報提供の質等 →策定や方向性の決定にあたっての議論の状況及び貢献度等 →経営の監督、リスクと機会を踏まえたサステナビリティの取組み等 |
評価のプロセス
前年 | 12月頃 | 評価方法の検討 |
当年 | 2月初旬 | 取締役・監査役へのアンケートの実施 |
3月初旬 | 第三者機関による集計及び評価のフィードバック | |
3月下旬 | 取締役会への報告及び今後の対応の検討 |
2023年度の評価結果の概要及び今後の対応
ポジティブな評価が大勢を占めており、前年度からの課題事項の改善もみられることから、取締役会全体の実効性は確保されていると考えています。第三者機関からも、当社の取締役会は概ね適切に機能しており実効性が確保されているとの評価を受けています。
評価項目別では、「経営の監督」については、引き続き高い評価が得られました。一方、事前検討時間を確保するための「情報提供の質」と「情報提供の時期」は継続的な課題です。情報の質については、分量の適正化を図ったことで改善が見られるとの評価を得ていますが、より一層の内容充実を含めて、さらなる進歩が必要であると考えています。提供時期については、資料の事前配布は徹底されているものの、重要案件における事前検討時間を十分に確保するため、可能な限り迅速な情報提供を実現すべく、取締役会資料の事前配信のさらなる早期化や情報提供の仕組みの見直しを検討いたします。
また、新たに設問項目として追加した「サステナビリティに関する取組み」については、現状の取り組み内容や姿勢に関して一定の評価がなされていますが、多岐にわたるテーマについて、事業と一体となった取り組みの浸透が必要と認識しており、取締役会での審議機会の拡充を図るとともに、世の中の動向を注視しつつ、適切な対応を検討していきます。
指名報酬委員会
当社は、取締役の人事・報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を一層強化し、コーポレート・ガバナンス体制をより充実させることを目的として、取締役会の諮問機関として任意の指名報酬委員会を設置しています。
指名報酬委員会は年2回開催され、取締役の選任・解任・報酬等に関する事項について審議し、取締役会に対して助言・提言・答申を行っています。取締役会の決議により選任された3名以上の取締役で構成します。ただし、委員の過半数は社外取締役となります。
監査役会
監査役会は、社外取締役3名を含む監査役5名で構成しており、監査に関する重要事項について報告、協議、決議を行っています。
監査役は取締役会、経営会議などの重要会議に出席し、適宜問題提起を行い、業務執行が適切に行われているかの確認及び監査の実効性の向上を図っています。
株主・投資家との対話
当社は、年1回株主総会を、四半期決算ごとに「決算説明会」を開催しています。通期および中間の決算発表時には、経営トップから機関投資家・証券アナリストの皆さまに、業績動向、事業環境、将来展望などをお伝えしています。決算発表時以外にも、機関投資家・証券アナリストの皆さまの関心事に対して、社長をはじめとする経営幹部によるエンゲージメント機会を複数回、IR担当者がお答えするコミュニケーション機会(個別取材対応)を四半期ごとに設けるなど、当社グループ戦略についての理解促進を図っています。また、海外機関投資家の皆さまからの対話要請に対しても、個別取材やカンファレンスへの参加を通じて、積極的に応じています。
2023年には、経営幹部によるエンゲージメントを8回(延べ82社89名)、IR担当者による株主・投資家等との個別取材については延べ231社348名と、それぞれ実施しました。決算説明会は電話会議形式、個別取材はオンライン形式と対面形式で開催しており、投資家の皆さまとのコミュニケーションを柔軟に実施しています。このほか、機関投資家・証券アナリストの皆さま向けに、各種説明会など、事業活動や当社の強みについて理解を深めていただくイベントを開催しています。
コミュニケーション・ツールの充実
当社グループの事業戦略・目標・現在の取り組み状況など総合的な経営情報を、迅速かつ分かりやすくお伝えできるよう、決算説明資料をはじめとする各種資料やIRサイトへの掲載内容の拡充・改善を随時行っています。また、国内外の機関投資家の皆さまをはじめ多くのステークホルダーに当社グループへの理解・関心を深めていただくためのツールとして統合報告書を発行しています。