E:環境

取り組むべき課題

  • 水環境の保護
  • サーキュラーエコノミー(循環経済)への貢献
  • 化学物質による環境汚染の防止

関与が大きいステークホルダー

直接的:地域社会、地球環境、顧客
間接的:株主・投資家、債権者、NGO、業界団体

取り組み方針

当社は、2021年に「地球環境に関するグローバル方針」を策定しました。国際規範の内容を支持し、予防原則に則り、バリューチェーン全体で気候変動など世界が直面する環境課題の解決に貢献します。
また、国連の環境と開発に関するリオ宣言やアジェンダ21、国連グローバル・コンパクトの10原則など国際規範の内容を支持し、環境責任を全うするため、環境上の課題に対してはリスクアセスメントなど予防的アプローチにより早期に対策を講じていきます。

地球環境に関するグローバル方針

  1. 基本理念

TOYO TIREグループは、地球規模の社会的課題解決をめざす「TOYO TIREのSDGs」のもと、将来にわたって地球環境に対する企業責任を果たし、私たちの事業にかかわるすべての人々と豊かさと喜びを分かち合う、持続可能な社会の実現を目指します。

  1. 行動指針

1)国際ルールや法令を守ります

私たちは、将来にわたって地球環境を守るための国際的なルールを支持するとともに、事業活動を行なう国や地域の環境関係法令の遵守に努めます。

2)気候危機に対応します

気候変動によって地球上で様々な危機的状況(気候危機)に見舞われています。私たちは、この変化及びこれから起きようとしている変化に対応していくことが、事業を続ける上で重要であると認識しています。エネルギー使用量の抑制やCO₂排出量の削減など、国際的に約束された目標の達成に貢献するとともに、自然災害発生の影響を極小化する事業継続基盤を整えていきます。

3)みんなの水を大切に使います

私たちは、自社やその周辺地域において水(淡水)を安全に使用できる状態を確保することが、事業を続ける上で重要であると認識しています。水の使用量削減に努めるとともに、事業活動に利活用するための取水および排水が周辺地域に与える影響を極小化し、水が安全に使用できる社会環境づくりに努めていきます。

4)資源を無駄にしません

私たちは、地球上の資源が有限であるとの前提で計画的かつ必要な量だけ使用することが、事業を続ける上で重要であると認識しています。また、利活用する資源は無駄なく使用し、廃棄物の極小化に努めることにより、資源活用の有効性を高めた豊かな社会のしくみづくりに貢献していきます。

5)環境にも暮らしにもやさしいモノづくりを続けます

私たちは、バリューチェーンの各プロセスにおいて、予防的に環境の保全や化学物質の安全性確保などを判断し、事業活動に取り組みます。これにより、環境も暮らしも豊かにする製品・技術・サービスを提供し続けていきます。

6)原材料産地の豊かな自然環境や人々の暮らしを守ります

私たちは、自社が製品の原材料として多くの天然ゴムを使用する企業であることを認識し、関係するすべての団体とともに産地の豊かな森林と人々の暮らしの保護に努めていきます。

7)社会とのコミュニケーションを大切にします。

私たちは、私たちの事業活動が将来にわたって社会に与える影響を理解して行動することが、社会の一員として重要であると認識しています。社会と建設的かつ健全な対話を重ねながら自らを理解するとともに、社会に正しく理解をいただくためのコミュニケーション、より良い関係づくりに努めていきます。

  1. 管理体制の整備

環境・安全衛生担当役員および部署は、本方針で定める内容に対する責任をもち、これに即した事業活動をグループ全社に促進します。
実施部門は、行動指針に基づく行動計画(目標)を明確にして、方針に掲げる基本理念の実現に努めます。また、行動計画内容およびその実行状況に対しては、全社安全衛生会議の環境部会において年次監査を行い、活動成果の評価・改善指導を行ないます。
行動指針のうち特に重要な項目(気候変動、水、資源)については、計画(目標)およびその進捗状況を定期的に取締役会に報告します。

2023年度環境部会 重点方策

方策展開項目 目標値
産業廃棄物の適正な処理を推進する。
  1. 産廃業者(収集運搬業者、処分業者)の現地確認を実施する。
  • 条例義務自治体:100%実施
  • 努力義務自治体:2年に1度以上の実施を目標
  1. 廃棄物再資源化率100%を維持する。
  2. サーキュラーエコノミーに向けた方策検討(リトレッドタイヤによる資源循環の拡大)
PCB廃棄物の処理を推進する。

PCB廃棄物の処理を計画通り実施管理する。

全拠点の環境課題を確認し、是正対応を推進する。

環境監査を実施し、課題抽出と是正完了を確認する。

  • 監査対象範囲:
    国内:30か所(国内拠点、販売会社支社、物流倉庫)
    海外:5工場
  • 重大指摘件数=0件
  • 指摘事項の是正または見直し100%実施の確認
環境開示データの精度向上を推進する。
  1. 外部機関による第三者検証で環境データ(エネルギー、水、廃棄物)の不備に対する指摘ゼロとするよう精度を向上させる。
  2. 環境データ(エネルギー、水、廃棄物)集計範囲としてセルビア工場を追加する。販売会社は営業所の統廃合に対応する。
水資源の削減を推進する。
  1. 取水量を5年間で10%削減する。
    (基準年:2018年、削減期間:2019年~2023年)
  2. 2024年以降のグループ水使用目標を策定する。
有害化学物質の管理を徹底する。
  1. VOC排出量を前年以下とする。(原単位管理)
  2. VOC削減ワーキンググループを立ち上げ、VOC排出量削減の具体案を策定する。
  3. 化学物質に関する法令・規則を遵守する。

環境マネジメントシステムの運用状況

製造拠点におけるISO14001認証登録状況(2022年12月末時点)
製造拠点数(グローバル):11事業所 ISO認証登録事業所:10事業所(取得率:90.9%)

<参考>
  • 製造拠点におけるISO14001認証登録状況(2021年12月末時点) 製造拠点数(グローバル):13事業所 ISO認証登録事業所:11事業所(取得率:84.6%)

責任(2023年4月現在)

執行役員 品質環境安全統括部門管掌

活動推進体制(2023年4月現在)

  • ※TOYO TIRE株式会社
活動推進体制図

苦情処理システム(窓口)

  • ホットライン相談窓口(内部通報制度)…【対象】役員、従業員、取引先
  • お客様相談室…【対象】顧客(消費者)、地域社会
  • Webお問い合わせフォーム…【対象】顧客(消費者)、株主・投資家、NGO

活動を推進する主な資本(2022年)

  • 主たる事業エリア内で生じる大気、水系への汚染防止のための費用:95百万円
  • 主たる事業エリア内で生じる資源循環のための費用:502百万円
  • 主たる事業エリアの環境保全にかかる管理活動のための費用:86百万円
  • ※「環境会計ガイドライン2005年度版」(環境省)に準拠。減価償却資産の減価償却費を含む。
  • ※主たる事業エリア=日本国内

環境会計

取り組み:水環境の保護

水リスク低減への取り組み

水の利用は人間の生活と福祉に必要不可欠であると同時に、国連により人権として認められている権利です。当社グループは企業活動における水リスクが経営課題の一つであると認識しています。

事業活動(製造)による水関連インパクトの特定

当社ではCDPの水に関する質問書の内容を参考に、企業が取り組むべきウォーターセキュリティー対策の検討を進めています。当社グループは世界資源研究所のAqueduct(アキダクト)が開示しているAqueduct Water Risk Atlas(アキダクト・ウォーター・リスク・アトラス)を用いて、製造拠点の周辺において事業活動に対する水関連インパクトの特定を行い、インパクトの大きさに応じた効率的な水利用によって取水量・排水量の削減に取り組みます。また現時点で水供給量が季節により変動するリスク、干ばつによる水不足のリスク、地下水が枯渇するリスク、および周辺地域で飲料水が確保できないリスクが高い地域における操業がないことを確認しています。
そのほか、現時点では当社グループにおいて、特に脆弱性が高いと専門家が認める水域や、国内または国際的に指定された保護地域など、生物多様性の観点から高い価値のある水源、地域コミュニティや先住民族にとって高い価値や重要性があると認められている水源からの取水、およびそうした水域、水源への排水を行っている事業拠点が存在しないことを確認しています。なお現時点で当社グループが報告するのに十分な精度の情報を得ることが困難な影響に対しては、今後水リスクの高まる恐れがあるエリアを優先して現状把握に努めます。

  • 特定方法:以下の情報を用いて特定
    ラムサール条約湿地(Ramsar Sites Information Service)、世界遺産自然遺産(UNESCO-World Heritage Center)、自然環境保全地域(環境省)、国指定文化財等天然記念物(文化庁)

事業活動(製造)に対する水関連インパクトの特定

特定方法: 2023年4月末時点の「アキダクト・ウォーター・リスク・アトラス」(世界資源研究所)による評価
評価対象地域: 当社グループが製造拠点を置く12の地域
評価結果: 現時点で水ストレスが非常に大きい地域には、諸城市(中国)周辺とChon Buri県(タイ)周辺が該当します。また、現時点で河川洪水リスクが高いのは、Perak州(マレーシア)周辺とChon Buri県(タイ)周辺が該当します。2030年の予測として、この先も安定した経済発展が進む場合、水需要が諸城市(中国)およびGrad Beograd州(セルビア)の周辺では現在の1.4倍、Perak州(マレーシア)周辺では現在の1.7倍増加する見込みと評価されました。

【現在の水関連インパクト評価に用いた評価指標】

評価指標: Baseline Water Stress、Riverine flood risk

【2030年の水需要予測に用いた評価指標】

シナリオ: business as usual
評価指標: Water Demand change from baseline

長期ロードマップ

2023年にTNFD v1.0が公開され、SBTNのパイロット実施など、国・⾏政や国内外の企業が⾃然資本に関する重要さに気づき、本格的に取り組みが開始されています。当社においても、水資源に限らず、WASHや生物多様性を含めた自然資本を意識した長期ロードマップを2023年に策定しました。今後、本ロードマップに従い各フェーズごとに活動を推進していきます。

長期ロードマップ

取水量の削減・排水の適正管理

取水量について、国内拠点において2019年-2023年の5年間で2018年比10%削減を掲げて活動してきた結果、2023年に本目標は達成できました。
今後は、長期ロードマップに従い設定した高リスク拠点における取水量削減目標を達成するよう取り組み、排水負荷低減についても進めていきます。

目標

  • ・アキダクトの「Water Depletion」の評価が「極めて高い」中国の拠点において、取水量を2030年に2023年比原単位で10%削減する
  • ・取⽔量の増減理由の管理およびリスク評価の継続
  • ・排⽔量、排⽔⽔質の取得データの充実とおよびリスク評価の継続

当社グループは主に製造拠点においてボイラー設備、部品処理施設、生産部品の冷却、クーリングタワー(冷却塔)、厚生施設等で地方自治体の水道や他の公営・民間水道施設、および地下水を使用しています。取水・排水に関しては、各工程で使用した水を極力循環再生するように設備改善するなど全社的に水資源の適正管理を進めています。2022年の取水量は国内拠点において2018年比15.4%の減少となりました。当社グループの主要拠点23事業所のうち、70%にあたる国内16事業所が水の管理計画を策定し、水資源の適正管理や環境負荷の低減に取り組んでいます。

取水量

(千kL)

2020年 2021年 2022年
全ての地域における総取水量 3,399.9 3,362.8 3,186.5
水源別
地表水(山水) 19.5 17.2 11.8
地下水 2,511.6 2,518.8 2,376.4
第三者の水(地方自治体の水道や他の公営・民間水道施設から供給) 868.7 826.8 798.2
水ストレスを伴う地域における総取水量 77.2 87.0 71.6
水源別
地表水(山水) 0.00 0.00 0.00
地下水 76.1 86.1 70.8
第三者の水(地方自治体の水道や他の公営・民間水道施設から供給) 1.11 0.92 0.82
  • *第三者検証済みデータ
  • ※現時点で取水している水は全て淡水(総溶解固形分濃度が1,000mg / L以下の水)です。
環境データの集計範囲、集計期間、算定条件・根拠
取水量
集計範囲 日本:13事業所(TOYO TIRE株式会社(本社、仙台工場、桑名工場、兵庫事業所、タイヤ技術センター、自動車部品技術センター、基盤技術センター、タイヤ試験場、冬季タイヤテストコース)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社、オリエント工機株式会社)
米州:2事業所(TOYO AUTOMOTIVE PARTS (USA), INC.、TOYO TIRE NORTH AMERICA MANUFACTURING INC.)
アジア(日本を除く):5事業所(東洋橡塑(広州)有限公司、通伊欧輪胎張家港有限公司、通伊欧輪胎(諸城)有限公司、TOYO TYRE MALAYSIA SDN BHD、TOYO RUBBER CHEMICAL PRODUCTS (THAILAND) LIMITED)
集計期間 当年1月~12月
算定条件・根拠 計測値。水ストレス判定は2023年4月末時点における「アキダクト・ウォーター・リスク・データ」(世界資源研究所)による

排水量

(千kL)

2020年 2021年 2022年
全ての地域における総排水量 2,022.2 2,014.9 2,104.4
排水先別
地表水(公共水域) 1,475.3 1,487.4 1,701.5
第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) 546.9 527.5 402.9
地下水 0.00 0.00 0.00
海水 0.00 0.00 0.00
水ストレスを伴う地域における総排水量(第三者の水) 77.0 86.8 71.5
  • *第三者検証済みデータ
  • ※現時点で排水している水はすべて淡水(総溶解固形分濃度が1,000mg / L以下の水)です

当社の製造拠点における排水に関するインパクトのマネジメント

拠点 排水先 水質管理項目 規制基準
仙台工場 公共水域(五間堀川)または第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) pH、BOD、COD、SS、フッ素、ホウ素、亜鉛、n-Hex(鉱物)
 
水質負荷量
・BOD 1.46 (t)
・COD 5.53 (t)
水質汚濁濃度
・pH
    最大 8.2
    最小 7.1
・BOD(mg/L)
    最大 1.8
    最小 0.5
・COD(mg/L)
    最大 5.6
    最小 3.7
・SS(mg/L)
    最大 8.0
    最小 1.0
法規制値
・pH 5.8~8.6
・BOD 120
・COD 120
・SS 150
桑名工場 公共水域(三孤子川)または第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) pH、BOD、COD、SS、n-Hex(鉱物)、窒素、りん、フッ素、大腸菌群数、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素、アンモニア等
 
水質負荷量
・BOD 0.46 (t)
・COD 0.89 (t)
水質汚濁濃度
・pH
    最大 7.7
    最小 6.7
・BOD(mg/L)
    最大 3.0
    最小 1.0
・COD(mg/L)
    最大 5.0
    最小 1.0
・SS(mg/L)
    最大 3.0
    最小 <2
条例規制値および自治体との公害防止協定規制値
・pH 6.0~8.0
・BOD 8
・COD 8
・SS 10
兵庫事業所 公共水域(瀬戸川)または第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) pH、BOD、COD、SS、n-Hex(鉱物)、窒素、りん、亜鉛、大腸菌群数、ジクロロメタン
 
水質負荷量
・BOD 0.15 (t)
・COD 0.19 (t)
水質汚濁濃度
・pH
    最大 8.0
    最小 7.4
・BOD(mg/L)
    最大 3.2
    最小 1.2
・COD(mg/L)
    最大 5.8
    最小 2.0
・SS(mg/L)
    最大 2.7
    最小 0.5
法規制値
・pH 5.8~8.6
・BOD 100
・COD 100
・SS 90
環境データの集計範囲、集計期間、算定条件・根拠
排水量
集計範囲 「取水量」と同じ
集計期間 当年1月~12月
算定条件・根拠 計測値および取水量からの推計値。
計測値:TOYO TIRE株式会社(仙台工場、桑名工場、兵庫事業所)、福島ゴム株式会社、TOYO TIRE NORTH AMERICA MANUFACTURING INC.、通伊欧輪胎張家港有限公司、通伊欧輪胎(諸城)有限公司、TOYO TYRE MALAYSIA SDN BHD、TOYO RUBBER CHEMICAL PRODUCTS (THAILAND) LIMITED
取水量からの推計値:上記以外
水ストレス判定は2023年4月末時点における「アキダクト・ウォーター・リスク・データ」(世界資源研究所)による

第三者検証について:

当社グループでは開示する情報の正確性、信頼性を確保するため、2022年の実績データに対し、第三者機関による検証を受けています。

  • 検証対象範囲:TOYO TIRE株式会社および関係会社のうち23事業所におけるエネルギー起源CO₂ Scope1総量、Scope2総量、取水量総量、取水量内訳、排水量総量、排水量内訳
  • *TOYO TIRE株式会社(本社、仙台工場、桑名タイヤ工場、桑名自動車部品工場、兵庫事業所明石工場、基盤技術センター、タイヤ技術センター、自動車部品技術センター、タイヤテストコース、冬季タイヤテストコース)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社、オリエント工機株式会社(本社、仙台支社、六甲支社)、TOYO AUTOMOTIVE PARTS (USA), INC.、TOYO TIRE NORTH AMERICA MANUFACTURING INC.、東洋橡塑(広州)有限公司、通伊欧輪胎張家港有限公司、通伊欧輪胎(諸城)有限公司、TOYO TYRE MALAYSIA SDN BHD、TOYO RUBBER CHEMICAL PRODUCTS (THAILAND) LIMITED
  • 検証期間:2022年1月-2022年12月
  • 検証基準:ISO14064-3:2006、関連法令、及び検証機関の手順による
  • 第三者機関:SGSジャパン株式会社

第三者機関の検証意見書はこちらをご参照ください

水消費

(千kL)

2020年 2021年 2022年
全ての地域における総水消費量 1,377.6 1,347.9 1,082.1
水ストレスを伴う地域における総水消費量 0.22 0.18 0.16
環境データの集計範囲、集計期間、算定条件・根拠
当社の製造拠点における水消費
集計範囲 「取水量」と同じ
集計期間 当年1月~12月
算定条件・根拠 GRIスタンダードに準拠。水ストレス判定は2023年4月末時点における「アキダクト・ウォーター・リスク・データ」(世界資源研究所)による

2022年度は水質や取水、排水に関する規制違反はありません。

取り組み:サーキュラーエコノミー(循環経済)への貢献

資源循環の取り組み

当社グループは、グローバルに事業を展開する製造業者の社会的責任として、資源を消費する社会から、資源が循環する社会への移行に貢献することを使命と考えています。
当社グループでは、生産規模の拡大とともに使用する原材料も増加していますが、調達段階においては主原料である天然ゴムをはじめ、原材料の安定的かつ持続的な確保に努める一方、新素材の研究開発や材料の利用効率を高める製品設計、生産工程の改善を進めています。また、資源循環につながるリサイクル材料の評価を進めています。
その他、製品使用時においては耐久性に優れた製品づくりや、使用済みタイヤから更生タイヤ(リトレッドタイヤ)を生産するなど、製品寿命の延長に取り組んでいます。

資源循環の取り組みの着手内容

  • 単純焼却物のサーマルリサイクル化
  • 木製パレットの高耐久樹脂パレットへの変更
  • 特定化学物質の代替物質の検討
  • 外部イニシアティブを通じた化学物質のリスクアセスメント、摩耗粉じん、使用済みタイヤに対する取り組み

主な原材料

(千t)

  2020年 2021年 2022年
原材料総量 500.0 588.0 589.0
環境データの集計範囲、集計期間、算定条件・根拠
主な原材料
集計範囲 TOYO TIREグループ
集計期間 当年1月~12月
算定条件・根拠 購入量実績

更生タイヤ(リトレッドタイヤ)としても高品質のTOYO TIRESブランド

タイヤ業界において使用済みタイヤの回収、リサイクルは資源循環における重要な課題です。当社グループではその解決策としてリトレッドタイヤの普及に努めています。
リトレッドタイヤとは、使用したタイヤのトレッドゴム(路面と接する部分のゴム)を貼り替えて、再び使用できるように更生したタイヤです。トレッドゴム以外の部分を再利用するため、新品タイヤに比べて省資源化はもちろんのこと、生産段階のCO₂排出量も低減することができます。また、低燃費タイヤと組み合わせて使用・管理することで、省エネルギーの効果も一層高まります。これらの環境性能により「グリーン購入法」の「特定調達品目」にも指定されています。
当社グループは耐久性の高い、高品質のタイヤを生産・供給していますが、リトレッドタイヤについてもご利用者から高い評価を得ています。
リトレッドタイヤは土台となる台タイヤの使用履歴が1本1本異なりますが、高電圧を用いた損傷状況の検査や外観からは発見できないタイヤ内部の検査、完成品の耐久性チェックなど、台タイヤの選別から出荷前検査まで、細かい検査体制を構築しており、お客さまに安心してご使用いただける製品を提供しています。
当社グループでは、高品質なリトレッドタイヤの普及を通じて、運輸業界における資源循環の促進に貢献しています。

  • *新品タイヤを生産する際のCO₂の排出量を100%とした場合、リトレッドタイヤのCO₂の排出量は41%に低減される。(出典:更生タイヤ全国協議会)

リトレッドタイヤ生産本数(TOYO TIRESブランド)

(千本/年)

2020年 2021年 2022年
生産本数 126.1 128.7 124.7
環境データの集計範囲、集計期間、算定条件・根拠
リトレッドタイヤ生産本数(TOYO TIRESブランド)
集計範囲 当社持分法適用関係会社の更生タイヤ製造工場(日本国内)
集計期間 当年1月~12月
算定条件・根拠 生産実績値

リトレッドタイヤの生産方式

リトレッドタイヤの加工方法は、台タイヤにパターンが付いていないトレッドゴムを貼り付け、金型に入れて加硫し、パターンを付けるリモールド方式と、台タイヤにパターンが付いているトレッドゴムを貼り付け、加硫缶の中で加硫するプレキュア方式があります。当社グループではどちらの工法においても高い技術を確立し、生産しています。

リトレッドタイヤの生産方式イメージ

取り組み:廃棄物の削減

  • 目標:再資源化率100%の維持(2018年12月末に達成済)
  • 管理対象:TOYO TIRE株式会社(本社、仙台工場、桑名タイヤ工場、桑名自動車部品工場、兵庫事業所明石工場、基盤技術センター、タイヤ技術センター、自動車部品技術センター、タイヤテストコース)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社、オリエント工機株式会社(本社、仙台支社、六甲支社)
  • 管理単位:直接リサイクル量/廃棄物総発生量×100
    • *直接廃棄物処分業者にリサイクル処分を委託している量(直接埋立量、社内単純焼却量、社外委託単純焼却量は除く)
  • 2022年度実績:再資源化率100%

(千t)

2020年 2021年 2022年
非有害廃棄物総重量 25.7 28.6 26.8
非有害廃棄物のうちリサイクル量 22.7 25.5 24.2
非有害廃棄物のうちリユース量 0.00 0.00 0.00
  • *処分方法の判定
    非有害廃棄物(一般廃棄物、産業廃棄物):廃棄物処分請負業者から提供された情報による
環境データの集計範囲、集計期間、算定条件・根拠
廃棄物
集計範囲
非有害廃棄物総重量
日本:11事業所(TOYO TIRE株式会社(本社、仙台工場、桑名工場、兵庫事業所、タイヤ技術センター、自動車部品技術センター、基盤技術センター)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社、オリエント工機株式会社)
米州:2事業所(TOYO AUTOMOTIVE PARTS (USA), INC.、TOYO TIRE NORTH AMERICA MANUFACTURING INC.)
アジア(日本を除く):5事業所(東洋橡塑(広州)有限公司、通伊欧輪胎張家港有限公司、通伊欧輪胎(諸城)有限公司、TOYO TYRE MALAYSIA SDN BHD、TOYO RUBBER CHEMICAL PRODUCTS (THAILAND) LIMITED)
非有害廃棄物のうちリサイクル量、非有害廃棄物のうちリユース量、有害廃棄物(特別管理規制廃棄物)総重量
日本:11事業所(TOYO TIRE株式会社(本社、仙台工場、桑名工場、兵庫事業所、タイヤ技術センター、自動車部品技術センター、基盤技術センター)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社、オリエント工機株式会社)
ただし、綾部トーヨーゴム株式会社の非廃棄物総重量、非有害廃棄物のうちリサイクル量、および有害廃棄物(特別管理規制廃棄物)総重量の各計測値には、隣接する他社事業所の廃棄量(共同廃棄処理の量)を含む。
集計期間 当年1月~12月
算定条件・根拠 総重量計測値、国内リユース量は廃棄物処理請負業者から提供された処理総量情報による。国内リサイクル量は廃棄物発生総量から埋立量を減した量

有害廃棄物(特別管理規制廃棄物)総重量

(t)

2020年 2021年 2022年
有害廃棄物(特別管理規制廃棄物)総重量 124.5 127.0 115.9

取り組み:化学物質による環境汚染の防止

当社グループにおいて事業を継続するうえで必要な原材料については、各国法規・規制や取引先各位のガイドラインに沿った化学物質管理を進めています。
例えば、日本国内では従来から「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)」のもと、使用、保管、廃棄に至るまで厳正な管理を行っています。PRTR制度に則り、対象化学物質を排出・移動した際には、その量を把握し、国に届け出ています。また、対象化学物質等を他の事業者に譲渡・提供する場合には、化管法SDS制度に則り、譲渡・提供先へその情報(SDS)を提供しています。その他、欧州REACH規制やGlobal Automotive Declarable Substance List (GADSL)、取引先の管理対象化学物質リスト改訂への対応なども随時実施しています。
また、一般社団法人日本ゴム工業会のVOC排出削減に関する自主行動計画に従い、「VOC排出量を2000年比50%以上削減の維持、ならびに、引き続きVOCの排出削減に努める」を目標に活動しています。対象とするのはゴム業界における代表的な17物質で、当社グループでは、ゴム揮発油の排出が6割以上を占めます。削減率は現在80%程度となり目標を大幅に達成しています。今後も工法・工程の具体的な改善案の策定を進め、VOCの排出削減に努めます。
オゾン層の破壊や地球温暖化への影響が大きいフロンについては、フロン排出抑制法に従い管理しており、漏えい量は1,000tCO₂未満です。

有害廃棄物の輸送(PRTR法対象物質)

(t)

2020年 2021年 2022年
取扱量 2,592.3 3,011.0 3,098.3
排出量 117.1 105.0 130.7
移動量 77.9 91.3 93.2
  • *処分方法の判定:
    害廃棄物(特別管理規制廃棄物):廃棄物処分請負業者から提供された情報による
    有害廃棄物の輸送(PRTR法対象物質):自ら処分
環境データの集計範囲、集計期間、算定条件・根拠
有害廃棄物の輸送(PRTR法対象物質)
集計範囲 日本:6事業所(TOYO TIRE株式会社(仙台工場、桑名工場、兵庫事業所)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社)
集計期間 当年4月~3月
算定条件・根拠 第一種指定化学物質は各拠点年間1t以上使用実績のある物質、特定第一種指定化学物質は各拠点年間0.5t以上使用実績のある物質についての集計値

オゾン層破壊物質(ODS)の排出量

2020年 2021年 2022年
ODS排出量(kg 但しCFH-11換算値) 0.35 0.58 0.04
  • *計算に用いた物質:HCFC
環境データの集計範囲、集計期間、算定条件・根拠
オゾン層破壊物質(ODS)の排出量
集計範囲 日本:11事業所(TOYO TIRE株式会社(本社、仙台工場、桑名工場、兵庫事業所、タイヤ技術センター、東洋ゴム基盤技術センター、自動車部品技術センター)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社、オリエント工機株式会社)
集計期間 当年4月~翌年3月
算定条件・根拠 「フロン類算定漏えい量報告マニュアル」(環境省、経済産業省・令和3年)に準拠

VOC管理目標と実績

  • 管理目標:揮発性有機化合物(VOC)排出量を2000年比50%削減し、継続する
  • 管理対象:TOYO TIRE株式会社(仙台工場、桑名工場、兵庫事業所)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社
  • 管理単位:VOC排出量
  • 2022年度実績:2000年度比78.7%削減

窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、および揮発性有機化合物(VOC)

(t)

2020年 2021年 2022年
NOx排出量 141.8 154.0 142.1
SOx排出量 2.16 2.67 2.08
VOC排出量 499.9 538.8 543.3
環境データの集計範囲、集計期間、算定条件・根拠
窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、 および揮発性有機化合物(VOC)
集計範囲
NOx、SOx
日本:4事業所(TOYO TIRE株式会社(仙台工場、桑名工場、兵庫事業所)、福島ゴム株式会社)
アジア(日本を除く):1事業所(通伊欧輪胎張家港有限公司)
VOC
日本:6事業所(TOYO TIRE株式会社(仙台工場、桑名工場、兵庫事業所)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社)
集計期間 NOx、SOx:当年1月~12月
VOC:当年4月~翌年3月
算定条件・根拠 計測値。VOCは各拠点年間1t以上使用実績のある物質についての集計値