S:グローバル水準の労働安全衛生マネジメント

取り組むべき課題

  • グローバル水準の労働安全衛生マネジメント
    (すべての従業員・関係者が心身ともに健康で安全に働く環境)

関与が大きいステークホルダー

直接的:従業員
間接的:地域社会、株主・投資家、債権者、業界団体

取り組み方針

当社グループではOSHMS指針(労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針、厚生労働省)をベースとした労働安全衛生マネジメントシステムを運用し、労使が一体となり、経営トップの指揮のもと、事業活動においてリスク評価に基づく必要な措置を実施し、全社的な労働安全衛生管理を推進します。現行の作業や設備に加え、条件の変更についてもリスク評価を行い、その結果に基づいて安全対策を実施します。
当社は、企業活動のすべてにおいて安全を最優先し、担保することがすべてのステークホルダーに対する企業の責務であると考えています。
また、当社グループは従業員の働きがいと幸せを追求するとともに、健全な労働環境と健康な心身を守ることで、より大きなパフォーマンスの発揮を支えていくことを健康経営方針として掲げています。

2023年の労働安全衛生に関する方針(安全・防災・衛生)

安全: 拠点におけるリーダーシップチームによるトップダウンと小集団活動によるボトムアップの融合で真の安全文化を構築する
防災: 「全員参加の火災予防活動」と「火災および自然災害に対する備えと訓練の充実」を図る
衛生: 社員がやりがいと幸せを感じながら、より大きなパフォーマンスを発揮していけるように、健康な心身、健全な労働環境を守る

製造拠点における労働安全衛生マネジメントシステム運用状況(2022年)

製造拠点総数:16事業所
OSHMS認証取得:4事業所(日本)
グッド・セーフティ・カンパニー登録:4事業所(日本)
ISO45001認証取得:2事業所(マレーシア、台湾)
安全生産標準化認証取得:4事業所(中国)

目標

「2023年 休業災害ゼロ(不休災害ゼロも目指す)」
休業不休業度数率、強度率、火災発生内容などから、職場の労働安全衛生の状況を把握し、リスク低減に繋げる職場環境の改善に努める。

責任(2023年4月現在)

執行役員 品質環境安全統括部門管掌

活動推進体制(2023年4月現在)

労使合同の全社安全衛生会議において労働安全衛生に関する年度方針・目標・計画の決定および計画進捗に対する評価・改善を行い、サステナビリティ委員会に報告しています。
従業員の労働安全衛生に関しては、環境安全推進本部が主管として推進し、重要課題は品質環境安全統括役員が議長の全社安全衛生会議、経営会議で報告しています。

活動推進体制

健康経営推進体制

品質環境安全統括とコーポレート統括を両軸に、各拠点担当者、産業衛生・保健に関わる専門家を含めたグループ横断的な連携体制のもと会社全体として健康経営を推進しています。

健康経営推進体制

苦情処理システム(窓口)

  • ホットライン相談窓口(内部通報制度)…【対象】役員、従業員、取引先
  • お客様相談室…【対象】顧客(消費者)、地域社会
  • Webお問い合わせフォーム…【対象】顧客(消費者)、株主・投資家、NGO
  • 労使協議会…【対象】従業員

活動を推進する主な資本(2022年)

  • セーフティアセッサ制度有資格者*(2022年):359名 ※日本国内本社との情報共有および各種活動推進者(日本国内主要製造拠点に配置)
  • 安全教育訓練施設(2022年):7事業所
  • 火災予防点検者:442人 ※日本国内
  • 衛生管理者(2022年):21名 ※日本国内
  • 産業医(2022年):15名 ※日本国内
  • *機械の安全性の妥当性確認に必要とされる知識・能力に加え、妥当性判断の総合力を有する人

取り組み:安全な職場づくり

当社グループは全事業所において、安全の取り組みを「ハード(設備)」「ソフト(人)」「管理の仕組みづくり」の観点で進めています。
ハード面においては、危険源のリスク評価を行い、設備の安全基準に基づいた危険源の排除、囲い込みやインターロック、個人用保護具、人間工学に基づいた作業環境などの安全対策を推進しています。
ソフト面では、ヒューマンエラーによる災害の撲滅に向けたリスク低減活動と人の行動を変えるための意識の高揚・維持活動に取り組んでいます。ハード対策後に残る「残留リスク」の可視化を進めるとともに、高残留リスクの表示や作業標準による管理、「止める・呼ぶ・待つ」活動、指差呼称活動や危険予知(KY)活動のほか、小集団活動(少人数グループによる自主的な改善活動)などを通じたリスク管理を徹底しています。多様な人財が就労する製造拠点においては、多言語による情報提供や、イラストや色警告を用いた指導を行っています。
管理の仕組みづくりにおいては、労働安全衛生管理システム(ISO45001/OSHMS/GSC)の充実を図っています。また、万が一労働関連で事故が発生した場合にも迅速かつ適切に対応することで、被害の拡大を防いで従業員の安全と会社の信用を守り、人的・物的損失を最小限に抑えることを目的として、労働災害対応マニュアルを策定しています。本マニュアルでは労働災害に対し、必要な危機管理体制・平時になすべき事項、従業員の行動要領・有時になすべき事項を定め、労働災害発生時の対応の具体的な手順を明確にしています。
日本国内では、全拠点の安全防災担当者および環境衛生推進部による月次会議を実施し(現在はオンライン会議)、各拠点の防災・減災活動の情報共有と各拠点への水平展開を図り、類似災害の防止につなげています。
また、日本国内の製造拠点において当社グループが管理する手段や方法で作業いただく方を対象に「入構安全教育テキスト」を配布するなど、当社社員以外の労働者の安全衛生管理にも取り組んでいます。

2022年安全実績

製造拠点従業員の休業度数率(100万延べ実労働時間あたりの休業災害件数)

日本:0.27(2021年0.17)
日本以外:0.43(2021年0.00)

  • ※ゴム製品製造業(日本):0.45
安全・防災データの集計範囲、集計期間、算定条件・根拠
2022年度安全実績:製造拠点従業員の休業度数率(100万延べ実労働時間当たりの休業災害件数)
集計範囲 日本:7事業所(TOYO TIRE株式会社(仙台工場、桑名工場、兵庫事業所)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社、オリエント工機株式会社)
米州:2事業所(TOYO AUTOMOTIVE PARTS (USA), INC.、TOYO TIRE NORTH AMERICA MANUFACTURING INC.
欧州:1事業所(TOYO TIRE SERBIA D.O.O)
アジア(日本を除く):5事業所(東洋橡塑(広州)有限公司、通伊欧輪胎張家港有限公司、通伊欧輪胎(諸城)有限公司、TOYO TYRE MALAYSIA SDN BHD、TOYO RUBBER CHEMICAL PRODUCTS (THAILAND) LIMITED)
集計期間 当年1月~12月
算定条件・根拠 日本国内拠点は休業1日以上および身体の一部または機能を失う労働災害の発生件数に基づき算定。日本以外の地域は各国の法定基準による届け出件数に基づき算定。

安全教育プログラムの充実

当社グループの各拠点では階層別安全教育体系に沿って教育訓練を実施しており、特に、KYトレーニングと体感教育を強化しています。そのための訓練場として、体感教育機を使って設備の危険性を体感することで、ルールに従って作業することの重要性を学ぶ「安全KY体感道場」を、2022年時点で7事業所に設置しています。
また、安全対策や教育内容の実効性を高めるため、拠点ごとに過去の災害情報データベースやヒヤリハット情報から災害の傾向を分析し、改善に活かしています。化学物質の安全な取り扱いや管理に関しては、原材料の安全データシート(SDS)を対象拠点に配布、各拠点で教育を実施しています。災害発生リスクの高い異常処置作業認定者への教育も強化しています。そのほか、当社設備企画設計部門と工場設備担当部門では、セーフティアセッサ教育と有資格者の養成を進めており、2022年末時点で制度有資格者は359名です。

取り組み:健康経営の推進

当社グループは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、全社として戦略的に実践してきました。

TOYO TIRE 健康宣言

TOYO TIREグループは、従業員の一人ひとりが心身ともに健康であり続けることが、理念を実現していく前提と位置付けています。
 
健康に仕事を行える会社であること、すなわち、それが社会に確かな価値を提供していくことを担保するからです。

TOYO TIRE株式会社
代表取締役 社長 & CEO
清水 隆史

当社グループはこれまでに、特に長期欠勤の主要因であるメンタル疾患への予防対策を強化してきました。例えば、日本国内では健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりとワークエンゲージメントの一環として、メンタルヘルス研修会を管理・監督者から一般従業員まで展開するとともに、メンタルヘルスのeラーニングを実施しています。また、従業員の健康課題の把握と必要な対策を検討するため、労働安全衛生法によって義務づけられる以前の2014年から、日本国内の事業所でストレスチェックを実施してきました。受検率は毎年90%以上で推移しており、集団分析結果をもとに職場環境改善に取り組んでいます。
さらに、従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的な対策として、産業保健スタッフ・従業員支援プログラム(Employee Assistance Program:EAP)や、事業者と連携した個別指導・相談による不調者の早期発見とカウンセリングを通じて、長期欠勤者を減らしていく取り組みに注力しています。
長期欠勤に至った従業員に対しては、一人ひとりの心身の状態を見ながら、個々のケースに最適なサポートを行い、円滑な職場復帰ができるよう支援しています。
また、2021年末に具体的な喫煙者低減目標を定め、2022年1月より毎月22日を禁煙デーとして定め、2023年1月より毎週1回を禁煙デーとすることで、喫煙に対するさらなる行動変容のきっかけづくりの機会を設けています。

社内のコミュニケーション改善等の一環として、以下の事項についても力を入れています。

  • 社員意識調査を行い、社員の声を拾い上げることで、組織運営上の課題を抽出し、部門、本部、統括部門、各レイヤーでアクションプランを策定・実行の上、全社としても実施状況のフォローを行っています。
    (調査は隔年実施)
  • 業務の棚卸・効率化により、残業が必要ない組織体制を2020年以降、全社として推進しています。
    (2019年比、全社残業時間が減少)
  • 海外駐在員に対しては、赴任前研修を実施し、勤務地における安全対策の啓発及び、現地で外国人の上司・部下と接する上での異文化コミュニケーション、必要な語学研修、赴任後の健康診断を実施しています。また、海外出張者に対しても、上記に準じた必要な研修を実施しています。

当社グループは感染症・伝染病による被害を軽減し、従業員の安全を守り、リスクの発生を最小限に抑えることを目的として、感染症・伝染病対応マニュアルにおいて、必要な危機管理体制・平時のなすべき事項、従業員の行動要領・有時になすべき事項を定めています。
また、近年新たな労働衛生側面におけるリスクとなった勤務中の熱中症への対策として、職場の暑熱・空調対策の実施や、従業員に対し定期的な水分補給を励行しています。
当社の特例子会社であるTOYO TIRE リファイン株式会社*1では、感染症防止対策と暑熱対策の両立を図る取り組みを進めています。気温の影響を受けやすい、屋外での清掃作業にかかる負担を軽減するために、新たな作業服を導入しました。この作業服では汗が乾きやすく清涼感が得られるため等の効果があり、快適に作業を行う一助となっています。この作業服は、昨年から他拠点へも展開し、従業員が安全、快適に働ける環境づくりに取り組んでいます。

当社グループは、他企業と共同で実施する研究活動に参画し、年間を通じて健康経営をテーマとした取り組みを行っています。活動における成果物は、健康経営以外のテーマに取り組んでいる企業にも共有され、健康経営推進活動の拡大に貢献しています。

  • *1 2023年10月1日より「昌和不動産株式会社」から名称変更を行いました。

重点施策とKPI及び実績

当社は健康経営戦略マップを作成し、健康経営で解決したい経営課題を明確にすることで、諸施策に取り組んでいます。

メンタルヘルス対策

当社の休職率のうち、60%以上を占めるメンタル疾患による休職者の職場への復帰支援とともに、新たな休職者の発症を抑止するために、ストレスチェックの結果分析を強化し、効果的な施策につなげられるように取り組んでいます。

・KPI及び実績(前年度より改善すること)

(%)

  2020年 2021年 2022年
休職者率 0.72 0.78 0.68
  • (当社グループ国内全体で集計。休職日数を延所定労働日数で除して算出)

・取り組み内容

  1. ①ストレスチェック実施(2022年)
    • - 受検率:96.6%
    • - 高ストレス者率:技術・事務系9.0%、製造系19.5%
  2. ②ストレスチェック集団分析結果による組織改革への取り組み
    • - 衛生推進者に対するメンタルヘルスセミナー(健康経営推進部署主催)
    • - 事業所におけるメンタルセミナー(事業所衛生推進者主催)
    • - 外部相談窓口設置
    • - 休職者比率の高いグループ会社への積極的な関与
  3. ③プレゼンティーイズム指標の導入(その他の実績参照)

喫煙対策

2020年4月1日の改正健康増進法の全面施行を機に、屋内喫煙所の閉鎖等の禁煙対策を講じてきました。さらに一段階進めた禁煙への取り組みや受動喫煙対策を行うとともに、健康被害に配慮した職場環境の整備に取り組んでいます。

・KPI及び実績(目標値:喫煙者比率 20%以下 2025年)

(%)

2020年 2021年 2022年
喫煙者率 41.5 40.6 38.8

(健康経営度調査に準じて、当社従業員かつ40歳以上で集計しています)

・取り組み内容

  1. ① 禁煙デー:喫煙機会を段階的に削減し、喫煙しにくい職場環境づくりを推進
    • - 2022年 毎月22日を禁煙の日と設定
    • - 2023年 週1日を禁煙の日と設定
    • - 2024年 就業時間内を全面禁煙とし、喫煙所を閉鎖
  2. ② 禁煙サポート(健康保険組合とのコラボ事業)
    • - “卒煙プログラム”の提供(禁煙補助剤、禁煙外来等)
  3. ③ ハイリスクアプローチ
    • - 喫煙者へ面談による保健指導を実施

生活習慣病対策

リモートワーク機会の増加とともに、個々人における健康習慣の実践項目に減少傾向がみられたため、生活習慣改善を目的とした施策を強化しています。ここでは生活習慣のすべてにおいて影響をうける適正体重維持率にフォーカスしています。健康習慣の実践項目は「ブレスローの7つの健康習慣」にて確認)

・KPI及び実績
(目標値:前年度比2ポイント改善)

(%)

2020年 2021年 2022年
適正体重維持率 62.6 64.6 64.1
  • (健康経営度調査に準じて、当社従業員かつ40歳以上で集計しています)

・取り組み内容

  1. ① ハイリスクアプローチ
    • - 健康診断結果に応じた産業医・保健師による受診勧奨・面接指導
  2. ② ポピュレーションアプローチ
    • - 食事(飲酒含む)、運動、睡眠に関するセミナー実施強化

その他の実績

取り組み:災害に強い職場づくり

当社グループは火災発生予防管理の充実と、東日本大震災などの大規模災害の経験を踏まえた防災・減災の取り組みを強化してきました。
実践的消火訓練や地震対応ブラインド型訓練などを各拠点で展開していますが、さらに実効力を高めるため繰り返し実施し、また参加人員の拡充をめざします。消火訓練ではNFPA(National Fire Protection Association:全米防火協会)の規格であるNFPA600に準拠した危険物火災の消火訓練を実施しています。
また、日本国内において、2018年から開始した火災予防点検者教育について、2022年までの受講者は442名となりました。継続した取り組みの成果として、2022年の火災発生件数は0件、小火件数も2020年比25%削減を実現しました。
日本以外の地域においても、各地域の災害リスクに応じた対策や防災訓練を実施しています。

2022年防災訓練実績

日本 19事業所(延べ参加人数4,625人)
米国 1事業所(延べ参加人数266人)
アジア(日本を除く)/オセアニア 4事業所(延べ参加人数1,216人)

安全・防災データの集計範囲、集計期間、算定条件・根拠
2022年度防災実績:防災訓練実施実績
集計範囲 当社および当社グループ会社(連結子会社)
※詳細は編集方針を参照ください。
集計期間 当年1月~12月
算定条件・根拠 実数

労働基準違反事例

2022年は労働基準違反事例の発生はありませんでした。