変革するモビリティ社会の新たなニーズ
タイヤ空洞共鳴音低減デバイス
モビリティ社会は今、100年に一度と言われる変革期を迎えています。
EVへのシフト、現実に近づく完全自動運転など、自動車を取りまく様々な環境やテクノロジーが大きく変化しています。
変革する新しい時代において、より快適な車内環境をご提供するためにTOYO TIREが研究・開発を続けてきた
タイヤ静音化技術「Toyo Silent Technology」。
TOYO TIREは、より静粛性の高い快適な空間を提供すべく、
車内騒音の一つであるタイヤ空洞共鳴音を効果的に低減するデバイスを新たに開発しました。
自動車走行時の騒音には、路面とタイヤから発生する音が空気を伝播して伝わる空気伝播音=「パターンノイズ」と、路⾯によるタイヤの振動がホイール/⾞軸/ サスペンションを介して、ボディ/フロアの振動となり、⾞内に伝わる固体伝播=「ロードノイズ」があります。
タイヤ空洞共鳴音とは、下記①〜④のプロセスを経て発生する車内騒音です。
①路面の凹凸によりタイヤが振動、
②その振動によりタイヤ内の空気が振動(=音)
③その空気の振動(音)がタイヤ内で共鳴、
④その共鳴が車内に伝わり、騒音となる。
タイヤ空洞共鳴音とは、タイヤ内部が空気で満たされた構造であることから発生する、およそ200~250Hzの帯域に発⽣する車内騒音のひとつ。
例えば、高速道路の継ぎ目を通り過ぎるときに聞こえる「パカーン」という音や、荒れた路面で聞こえる「コー」といううなるような音のことです。
粒子画像流速計測法PIV[Particle Imaging Velocimetry]を用いて、走行時のタイヤ内空気の状態を可視化。
これにより、充填された空気自体がタイヤ内部で「周方向の流れ」と「半径方向の流れ」を発していることを確認しました。
タイヤ空洞共鳴音を低減する方法として、吸音効果のある素材をタイヤ内部に装着するという方法が先行技術として具現化されていますが、TOYO TIREは、タイヤ内部に空気の流れが発生している事実に着目。「空気の流れを活用して」騒音低減を図るという独自アプローチに取り組みました。
可視化により確認された空気の流れを利用して騒音を低減する。山なりに配置した多孔フィルムと円筒状スポンジを組み合わせた独自構造です。
①通過する穴の壁面で摩擦が生じることで、音のエネルギーは低減する。
②通過した音が「渦」になることで、音のエネルギーは低減する。
この2つのメカニズムを利用し、タイヤ内部の空気を多孔フィルムの穴に音を通過させることで、騒音を低減させます。
山なりに多孔フィルムを配置する構造が、可視化により確認された、周方向、半径方向、2つのタイヤ内部の空気の流れ双方に対応します。
多孔フィルムに加え、中空構造が音の低減効果を高める円筒状スポンジを配置しました。
加えて、周方向と半径方向、双方の空気の流れに対応する、多孔フィルムの山なり形状を保持します。
多孔フィルムと円筒状スポンジの相乗効果によって、さらなる騒音の低減効果を得ることができました。
タイヤ空洞共鳴音はおよそ200Hzから250Hzという帯域でピークを有するノイズとなります。
当社テストの結果、空洞共鳴音低減デバイス搭載タイヤは、デバイスを搭載していないタイヤに比べ、およそ200Hzから250Hz帯域におけるピークについて、最大でマイナス12dBという低減効果を得ることができる可能性を確認しました。