お取引先との協働

持続可能な調達の推進

TOYO TIREの事業成長を支える品質・量を兼ね備えた原材料を安定的に確保し続けるためには、持続可能な調達を支えるサプライチェーンの構築が必要不可欠です。持続可能な調達とは、生産から消費に至るサプライチェーン全体で社会的課題の解決に取り組み、社会全体の持続可能性を目指すものです。
持続可能なサプライチェーンの構築は当社グループにおける緊急性の高い優先課題の一つとして、サステナビリティ委員会のもとにタスクフォースを設置し、目標・ターゲット、活動計画、KPIなどを協議しています。

持続可能な調達の推進

CSR調達ガイドライン

当社グループは、生産から消費に至るサプライチェーン全体で社会的課題の解決に取り組むため、「TOYO TIREグループCSR調達ガイドライン」を策定し、お取引先にも本ガイドラインに沿った活動の推進を要請しています。また、お取引先からさらにサプライチェーンの上流に本ガイドラインの趣旨を展開してもらうよう協力を呼びかけています。
ガイドラインの内容は、社会からの要請や事業環境の変化に応じて都度見直しを行っています。グローバル調達の拡大に伴い、ガイドラインは日本語版・英語版・中国語版を発行しています。
2020年は国内外約350社の既存のお取引先を対象に、CSR調達ガイドラインに沿った活動状況を報告してもらうため、「CSR自主点検チェックリスト」によるアンケートを実施し、コンプライアンス、製品とサービス、人権と労働、環境、責任調達などガイドラインの項目ごと、またはお取引先の地域ごとに回答内容を点検しました。今後は、点検結果をもとにデュー・ディリジェンス(サプライチェーンにおけるリスクを分析し、その結果をお取引先にフィードバックすることで、顕在的・潜在的なマイナスインパクトを改善すること)に取り組んでいきます。

TOPIC
「持続可能な天然ゴム」に関するWWFによる社内勉強会の開催
8.働きがいも経済成長も

TOYO TIRE株式会社は、持続可能な天然ゴムサプライチェーンの構築に向けた取り組みを進めるにあたり、天然ゴム生産地で起こっている問題を正しく理解することが重要と考え、2021年4月にWWFジャパン様をお招きし、「森林保全と持続可能な天然ゴム」についての社内勉強会(オンライン)を開催しました。
勉強会には購買、技術、品質、環境、ESG部門が参加し、 WWFジャパン様より天然ゴム生産地における森林保護を中心に、生物多様性、野生動物保護、土地開発・利用等に関して専門的見地からご講義いただき、理解を深めることができました。また、各部門が「持続可能な天然ゴムの調達方針」と自部門の業務との関わりや、活動計画を策定するにあたっての課題等を確認する貴重な機会となりました。
今後も、こうした専門機関・団体やステークホルダーとのコミュニケーションや連携を通じて、持続可能な調達に向けた取り組みを強化していきます。

天然ゴムの持続可能な調達に向けた国際連携

天然ゴムをモノづくりの主原料としている当社グループにとって、特に天然ゴムを将来にわたり安定的に調達していくことは重要な経営課題です。そして、天然ゴム産業は生産現場における森林減少、地域住民の権利侵害などの社会的課題を抱えており、これらを解決していくことで天然ゴムの持続可能な調達を実現しようとする動きが世界的に進んでいます。
当社は持続可能な開発のための世界経済人会議(World Business Council for Sustainable Development:WBCSD)傘下のタイヤプロジェクト(Tire Industry Project:TIP)の主導によって2018年に発足した新たな枠組み「持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム(GPSNR)」* にも参画し、課題解決に向けた協議を重ねています。2020年はGPSNRが掲げる「持続可能な天然ゴムの原則」を事業活動に組み込むために整備すべき方針の要素が決議されました。当社もそれを踏まえ、2019年にCSR調達ガイドラインの一部として追加した天然ゴムの調達に関する方針を全面的に見直し、「持続可能な天然ゴムの調達方針」を独立方針として新たに策定、公表しました。新方針は、健全な生態系や人権・コミュニティなどに関する取り組みの実効性を高める内容となっています。
今後も、国際的なイニシアチブやステークホルダーと連携しながら、当社のバリューチェーンを通じて持続可能な天然ゴムサプライチェーンの構築を目指します。

* Global Platform for Sustainable Natural Rubber(GPSNR)。業界の枠を超えて、世界の天然ゴムの生産や利用が、より自然環境や社会的課題に配慮した方法で行われることを目指すプラットフォーム(基盤)

TOPIC
GPSNRプラットフォーム・ディレクター Stefano Savi氏のコメント

TOYO TIREがGPSNRのポリシーフレームワークに賛同し、さらに公正、公平、持続可能な天然ゴムのバリューチェーンへのコミットメントを制度化したことを喜ばしく思います。GPSNRには天然ゴムに関係するステークホルダーの50%が加盟しているため、TOYO TIREをはじめとする加盟企業がポリシーフレームワークを採用することは業界全体にとっての前進となります。TOYO TIREの取り組みが他企業の賛同を促すことを期待しています。

内部通報窓口

当社はお取引先も利用可能な内部通報制度を運用しており、CSR調達ガイドラインの説明会等を通じてお取引先に周知しています。2020年はお取引先からの通報はありませんでした。
また、2021年には天然ゴムのサプライチェーンにおける懸念事項や苦情の通報を受け付ける専用窓口も開設しました。

紛争鉱物への対応

紛争地域等で採掘されるスズ・タンタル・タングステン・金(紛争鉱物)を購入することが現地の武装勢力の資金源となり、人権侵害、贈収賄、資金洗浄等の腐敗行為を助長するとして、欧米では法によりサプライチェーンのデュー・ディリジェンス等が義務づけられています。当社グループでは、お取引先と協力しながら製錬所まで遡って、当社グループが購入する原材料がそのような非人道的行為に関与していないかを確認する調査を実施しています。