サステナビリティ

サプライチェーンのサステナビリティを促進する

取り組むべき課題

  • 持続可能な天然ゴム調達
  • サプライヤー管理・リスク原材料対応
  • ホワイト物流

関与が大きいステークホルダー

直接的
取引先、地域社会
間接的
株主・投資家、債権者、業界団体

取り組み方針

当社グループは、「TOYO TIREグループ購買基本方針」を定め、公正な取引による適正な品質・価格を追求します。そして、「TOYO TIREグループCSR調達ガイドライン」(取締役会で承認済み)および「持続可能な天然ゴムの調達方針」に基づき、お取引先さまと協働して、企業活動が環境・社会におよぼすマイナスのインパクトを軽減、防止、最小化すること、さらにはともに企業価値・競争力を向上させることをめざしてサステナビリティ調達を推進します。
また、トラック輸送の生産性の向上・効率化と荷役作業の安全性を確保することで、持続可能な物流の実現に貢献します。

TOYO TIRE グループ 購買基本方針

  1. コンプライアンス

    購買活動にあたって、関連する法令・社会規範を遵守するとともに、機密保持を徹底します。

  2. パートナーシップ

    お取引先さまとの誠実、健全な関係を維持し、対等な立場での協力関係を築きます。 コミュニケーションの充実を図り、相互の信頼を強化し、共に成長、発展することを目指します。

  3. 透明かつ公平な取引

    お取引先さまの選定にあたっては、CSRに関する取り組みの共有と協働及び品質・価格・納期・安定供給能力などを総合的に評価します。

  4. 環境への配慮

    地球環境負荷低減に配慮した購買活動を推進します。

持続可能な天然ゴムの調達方針

責任者(2025年4月現在)

取締役 執行役員 事業統括部門管掌

活動推進体制(2025年4月現在)

サステナビリティ委員会の下に設置した「サプライチェーンタスクフォース」においてサプライチェーンのESG課題関連の活動計画や目標・KPIを協議し、その活動状況をサステナビリティ委員会で定期的に確認・モニタリングしています。

活動推進体制図

お問い合わせ窓口

  • ホットライン相談窓口(内部通報制度)…【対象】役員、従業員、取引先
  • お客様相談室…【対象】顧客(消費者)、地域社会
  • Webお問い合わせフォーム…【対象】顧客(消費者)、株主・投資家、NGO
  • 独占禁止法遵守相談窓口…【対象】従業員
  • 天然ゴムのサプライチェーン専用窓口・・・【対象】顧客(消費者)、取引先

取り組み:持続可能な天然ゴム調達

原材料を安定的に確保し続けるためには、持続可能な調達を支えるサプライチェーンの構築が必要不可欠です。天然ゴムを主原料とする事業活動を行う当社グループにとって、特に天然ゴムを将来にわたって安定的に調達していくことは重要な経営課題です。天然ゴム産業は生産現場における森林減少、地域住民の権利侵害などの問題を抱えており、生産から消費に至るサプライチェーン全体でこれらの解決に取り組むことが重要と認識しています。

サプライチェーンの構築に向けた国際連携

天然ゴムに関しては、持続可能な調達を実現しようとする動きが世界的に進んでいます。
当社は持続可能な開発のための世界経済人会議(World Business Council for Sustainable Development:WBCSD)傘下のタイヤプロジェクト(Tire Industry Project:TIP)の主導によって2018年に発足した「持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム(GPSNR)※1」のメンバーとして、課題解決に向けた協議に参画しています。森林破壊の防止、生物多様性や水資源の保全、人権尊重・地域コミュニティへの支援、天然ゴムの生産性向上、サプライチェーンの透明性に向けて取り組んでいます。
また、天然ゴムの生産現場における環境・社会課題に専門的な知見を持つ市民社会セクター(NGO等)との情報交換も進めています。
今後も、国際的なイニシアチブやステークホルダーと連携しながら、当社のバリューチェーンを通じて持続可能な天然ゴムサプライチェーンの構築を目指します。

  • ※1 Global Platform for Sustainable Natural Rubber(GPSNR)。業界の枠を超えて、世界の天然ゴムの生産や利用が、より自然環境や社会的課題に配慮した方法で行われることを目指すプラットフォーム(基盤)
GPSNR

持続可能な調達の推進

GPSNRの掲げる「持続可能な天然ゴムの原則」をタイヤメーカーとしての事業活動に組み込むための指針を踏まえ、CSR 調達ガイドラインの一部として定めていた天然ゴム調達に関する項目を全面的に見直し、2021年から、個別の「持続可能な天然ゴムの調達方針」として運用を強化しました。
同方針は、環境NGOの事前確認を受け、いただいたご意見も踏まえて、健全な生態系や人権・コミュニティなどに関する取り組みの実効性を高める内容としています。現在、お取引先さまへの同方針の周知や協力要請を進めるとともに、サプライチェーンタスクフォースで策定した活動計画に沿って、トレーサビリティの確保や環境保護に向けた活動を推進しています。なかでも、天然ゴムが対象品目となる欧州の森林破壊防止規則(EU Deforestation Regulation: EUDR)の義務化への対応準備は着実に進めており、2024年末時点で全調達量のうち約40%を占める天然ゴムの収穫地域を把握しています。また、2023年から毎年、森林保護を目的として国際的な環境保護団体への寄付を行っています。なお、天然ゴムサプライチェーンに特化した苦情受付窓口も設置しており、2024年は通報がありませんでした。
今後も国際的なイニシアチブやステークホルダーと連携しながら、持続可能な天然ゴムサプライチェーンの構築をめざします。

取り組み:サプライヤー管理

ガイドラインを通じたサプライヤー・エンゲージメント

当社グループは、生産から消費に至るサプライチェーン全体で環境・社会課題の解決に取り組むため、環境NGOの事前確認を受け、いただいたご意見も踏まえて、「TOYO TIREグループCSR調達ガイドライン」を策定し、全てのお取引先さまに本ガイドラインに沿った活動の推進を要請しています。また、お取引先さまからさらにサプライチェーンの上流に本ガイドラインの趣旨を展開してもらうよう協力を呼びかけています。ガイドラインの内容は、社会からの要請や事業環境の変化に応じて都度見直しを行っています。グローバル調達の拡大に伴い、ガイドラインは日本語版・英語版・中国語版を発行しています。

2022年からは、公正で客観的なサプライチェーンのリスク評価を行うため、サステナビリティ評価の第三者機関であるフランスのEcoVadis社※2と契約を締結し、お取引先さまの環境面、社会面等の課題に関し、脱炭素や水処理、環境破壊等に関する取り組み、及び人権や安全、汚職防止や公正な取引等に対する取り組みについて、サステナビリティ評価を同社に委託しています。目標としましては、2025年末までにタイヤ原材料の取引金額で95%以上のお取引先さまの受審完了を目指しており、天然ゴムの一次サプライヤーを手始めに順次、対象を拡大しながら進めています。現状の進捗は、2024年末時点で取引金額の90%以上のお取引先さまの評価を完了しております。今後の対応として、それらの評価内容を踏まえ、お取引先さまとのエンゲージメントを推進し、サプライチェーンの課題解決に向けて共同して取り組んでいくために、同社による評価結果に関して基準点を45点に設定し、基準点に満たなかったお取引先さまにつきましては毎年、同社によるサステナビリティ評価を受審していただくことや、セミナー受講を促したりすることなどを検討中です。また、3年以上続けて基準点未満、若しくは未受審のお取引先さまにつきましては、取引の継続に関して社内協議を行う等の方策も検討しております。
脱炭素に関する取り組みに関しましても、2021年から既存のお取引先さまを対象に当社独自のアンケートも実施しており、サプライチェーンにおける環境負荷低減といった課題解決にも取り組んでいきます。
また、お取引先さまのスクリーニング(各国の制裁リストへの掲載有無等、法的リスクの確認)に関しましても、以前から部分的には実施しておりましたが、2024年度からは更なるリスク管理の為に全てのお取引先さまのスクリーニング実施にもトライアルしており、2025年度より本格的に運用を開始する予定であり、今後はこれらの手法を組み合わせて、複合的にお取引先さまの評価を実施していきます。

  • ※2 EcoVadis社:世界180か国で活用され、200業種以上、13万社のサステナビリティ評価をサポートしてきました。「環境」、「労働と人権」、「倫理」、「持続可能な調達」の面から包括的に企業のサステナビリティを評価しています。
エコバディス・ジャパン株式会社について
https://ecovadis.com/ja/

内部通報窓口

当社はお取引先さまも利用可能な内部通報制度を運用しており、CSR調達ガイドラインの説明会等を通じて周知しています。2024年は取引先からの通報はありませんでした。

公正・透明な取引とコンプライアンスの徹底

当社グループでは、各国・地域の自由な競争と公正な取引を「TOYO TIREグループ行動基準」に掲げ、独占禁止法・下請法の遵守、公正な調達活動、輸出入関連法令の遵守、適正な表示と説明を実施しています。
当社では、公正かつ無差別な取引の徹底、お取引先さまとの個人的な利害関係の禁止などを定めた購買取引規定や、独占禁止法が禁止するカルテル・談合およびこれらの疑いを招く行為を未然に防止するためのカルテル防止規定を定め、公正かつ自由な競争に基づく事業活動を確保しています。
購買取引においては、購買本部と法務部およびコンプライアンス推進部が協力し作成した、当該取引の下請法適用の該非や下請法が適用される場合に作成・保管すべき書面や記載事項に遺漏がないかを確認できるチェックリストを用い、下請法遵守状況の自主点検を継続して実施しています。また、e-ラーニングを利用して、下請法等に関する講習会を継続的に実施しています。これらの取り組みにより、当社グループ内での情報の共有化を進め、下請取引担当者の知識の向上と理解レベルの統一化を図っています。
また、当社グループでは、調達担当者同士の接触による不正および談合の防止と、入札にかかるコスト削減を目的として、国内外の主要な購買拠点においては、お取引先さまの選定に電子入札システムを導入し、公正な調達活動を展開しています。

取り組み:リスク原材料対応

紛争鉱物への対応

紛争地域や高リスク地域で採掘される紛争鉱物(スズ・タンタル・タングステン・金)やコバルトを購入することが現地の武装勢力の資金源となったり、人権侵害、贈収賄、資金洗浄等の腐敗行為を助長したりするとして、欧米では法によりサプライチェーンのデュー・ディリジェンス等が義務づけられています。当社グループでは、そのような地域で採掘、製造された鉱物や原材料等については、人権侵害、環境破壊、紛争、汚職に関与していないものを調達する方針とし、お取引先さまと協力しながら製錬所までさかのぼって、購入する原材料がそのような非人道的行為に関与していないかを確認しています。万一、関与が懸念される場合にはお取引先さまを通して是正措置を要請します。

取り組み:ホワイト物流

関与が大きいステークホルダー

直接的
:取引先、地域社会
間接的
株主・投資家、債権者、業界団体

責任者(2025年4月現在)

取締役 執行役員 事業統括部門管掌

ホワイト物流推進体制タスクフォース体制(ホワイト物流推進)

SCM本部長をリーダーとしたタスクフォースを立ち上げ、国内の6物流拠点の担当者とともに取り組みを進めています。

お問い合わせ窓口

  • ホットライン相談窓口(内部通報制度)…【対象】役員、従業員、取引先
  • お客様相談室…【対象】顧客(消費者)、地域社会
  • Webお問い合わせフォーム…【対象】顧客(消費者)、株主・投資家、NGO

取り組み:輸送の生産性向上と働きやすい環境整備

日本ではトラック運転手の不足が深刻化しており、国土交通省主導のもと、トラック輸送の生産性の向上・効率化と働きやすい労働環境の実現に取り組む活動(ホワイト物流)が展開されています。
当社では、ホワイト物流への取り組みとして、工場からの国内長距離輸送の船舶・JR 輸送・大型トレーラー等への切替え(モーダルシフト)を進めています。既に50%以上の切り替えが完了しており、2033年にはトラック長距離輸送を2019年の半分程度まで減らすことをめざしています。また、荷役作業のさらなる安全確保・効率化により運転手の負担を減らすだけでなく、経済成長や働きがいの創出にもつなげます。

具体的な取り組み内容

工場・港から各地区倉庫・お客様納入倉庫等への国内長距離輸送でのトラック輸送の利用率を2028年までに30%引き下げること(対2019年比)、そして国内物流全拠点でリスクアセスメントを実施し、荷役作業にかかる事故・重点ヒヤリを半減させること(対2020年比)を目標に掲げています。定期的に会合を開き、各拠点のモーダルシフト事例や事故・重点ヒヤリ事例の紹介、意見交換を通して目標達成に向けた取り組みを行っています。

  • トラック運転手の負荷が高い長距離輸送におけるモーダルシフトの推進
    1. 桑名物流センター発内航コンテナ船輸送の導入・拡大
    2. 仙台および桑名物流センター発JR大型コンテナ輸送の導入・拡大
  • リスクアセスメントを実施したうえで仙台及び桑名物流センター倉庫内の安全防護柵設置(地震時タイヤラックの転倒・落下事故防止)
  • 工場物流センター及び国内配送センター構内での安全行動観察カメラ設置、フォークリフトへの安全運転観察カメラの設置
  • トラックへの荷役作業の効率化、待機時間の見える化と短縮

【TOPIC】

「物流環境大賞」で低炭素物流推進賞を共同受賞

当社は、お取引先さまである物流事業者3社と協業して推進した国内タイヤ輸送におけるモーダルシフトの取り組みが評価され、第26回物流環境大賞「低炭素物流推進賞」※3を共同受賞し、また、当社は令和6年度エコシップマーク認定事業者として「海運モーダルシフト大賞」※4も受賞しました。
具体的には、桑名工場(三重県)から広島県のトラックによるタイヤ輸送の一部を、四日市港から広島港の内航船による海上輸送に切り替えることで、同ルートにおけるCO2排出量を56%削減※5しました。また、四日市港から広島港を回送していた空コンテナを海上輸送に活用し、輸送の効率化とコスト低減を達成しています。さらに、桑名工場で海外輸出に使用している専用コンベアを荷詰め時に利用することで、トラックドライバーの荷役作業の負担を半減しました。なお、工場周辺と広島県の倉庫で適正な在庫管理を実施し、天候などによる海上輸送時の遅延リスクの影響も最小化しています。今後もモーダルシフトを通じて環境負荷低減と物流インフラの課題解決に努めます。

  • ※3  一般社団法人日本物流団体連合会が、モーダルシフトの推進や輸送網の集約、輸配送の共同化等の取り組みにより、温室効果ガスの削減に寄与した事業者に授与
  • ※4  エコシップ・モーダルシフト事業実行委員会が、海上輸送へのモーダルシフトに特に貢献したと認められる荷主および物流事業者のうち、とくに功績のあった事業者に授与
  • ※5  海上輸送した物量と同量をトラック輸送した場合のCO2排出量に対する削減率