水リスク低減への取り組み
水リスク低減への取り組み
TOYO TIREは、水の利用が人間の生活と福祉に必要不可欠であり、国連により人権として認められている権利であり、企業活動における水リスクが経営課題の一つであると認識しています。
当社ではCDPの水に関する質問書の内容を参考に、企業が取り組むべきウォーターセキュリティー対策の検討を進めています。当社グループは世界資源研究所のAqueduct(アキダクト)が開示しているAqueduct Water Risk Atlas(アキダクト・ウォーター・リスク・アトラス)を用いて、製造拠点の周辺において事業活動に対する水関連インパクトの特定を行い、インパクトの大きさに応じた効率的な水利用によって取水量・排水量の削減に取り組みます。また今回の評価で、現時点で水供給量が季節により変動するリスク、干ばつによる水不足のリスク、地下水が枯渇するリスク、および周辺地域で飲料水が確保できないリスクが高い地域における操業がないことを確認しています。
そのほか、現時点では当社グループにおいて、特に脆弱性が高いと専門家が認める水域や、国内または国際的に指定された保護地域など、生物多様性の観点から高い価値のある水源、地域コミュニティや先住民族にとって高い価値や重要性があると認められている水源からの取水、およびそうした水域、水源への排水を行っている事業拠点が存在しないことを確認*しています。なお現時点で当社グループが報告するのに十分な精度の情報を得ることが困難な影響に対しては、今後水リスクの高まる恐れがあるエリアを優先して現状把握に努めます。
* 特定方法:以下の情報を用いて特定
ラムサール条約湿地(Ramsar Sites Information Service)、世界遺産自然遺産(UNESCO-World Heritage Center)、自然環境保全地域(環境省)、国指定文化財等天然記念物(文化庁)
共有資源としての水との相互作用
事業活動(製造)に対する水関連インパクトの特定
特定方法: | 2021年6月末時点の「アキダクト・ウオーター・リスク・アトラス」(世界資源研究所)による評価 |
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評価対象地域: | 当社グループが製造拠点を置く15の地域 |
評価結果: | 諸城市(中国)周辺では、水の需要者の規模や水の供給量の年変動、周辺の排水処理インフラの整備状況などから、現時点でこの地域における水関連インパクトが非常に大きいと評価された。また、Chon Buri県(タイ)周辺でも、水の需要者の規模、過去の周辺河川の氾濫状況、周辺の排水処理インフラの整備状況などから、現時点でこの地域における水関連インパクトが大きいと評価された。また、2030年の予測結果として、この先も安定した経済発展が進む場合、水需要が諸城市(中国)およびGrad Beograd州(セルビア)の周辺では現在の1.4倍、Perak州(マレーシア)周辺では現在の1.7倍増加する見込みと評価された。 |
取水量・排水量の削減
当社グループは主に製造拠点においてボイラー設備、部品処理施設、生産部品の冷却、クーリングタワー(冷却塔)、厚生施設等で地方自治体の水道や他の公営・民間水道施設、および地下水を使用しています。取水・排水に関しては、製造拠点ごとに事業規模や取り扱う製品などの状況に応じて自主目標を設定し、各工程で使用した水を極力循環再生するように設備改善を進めています。
取水量
(千kL)
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
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すべての地域における総取水量 | 3808.3 | 3737.3* | 3399.9* |
水源別 | |||
地表水(山水) | 0.00 | 0.00 | 19.5* |
地下水 | 2823.5 | 2726.8 | 2511.6* |
第三者の水(地方自治体の水道や他の公営・民間水道施設から供給) | 984.8 | 1010.5 | 868.7* |
水ストレスを伴う地域における総取水量 | - | 87.2 | 77.2 |
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水源別 | |||
地表水(山水) | - | 0.00 | 0.00 |
地下水 | - | 86.1 | 76.1 |
第三者の水(地方自治体の水道や他の公営・民間水道施設から供給) | - | 1.10 | 1.11 |
- *第三者検証済みデータ
- ※国内の1製造拠点において地表水(山水)を水源とする水を使用しています。2018年と2019年は第三者の水で分類していましたが、2020年の第三者検証により、2020年以降は地表水(山水)に分類するよう変更しました。
- ※現時点で取水している水はすべて淡水(総溶解固形分濃度が1,000mg / L以下の水)です。
【参考】社内管理目標と実績
- 社内管理目標:取水量10%/5年削減(2018年度比)
- 管理対象:TOYO TIRE株式会社(本社、仙台工場、桑名タイヤ工場、桑名自動車部品工場、兵庫事業所明石工場、基盤技術センター、タイヤ技術センター、自動車部品技術センター、タイヤテストコース)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社、オリエント工機株式会社(本社、仙台支社)
- 管理単位:t
- 2020年度実績:2018年度比11.7%減少
当社の製造拠点における排水に関するインパクトのマネジメント
当社製造拠点 | 排水先 | 水質管理項目 | 規制基準 |
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仙台工場 | 公共水域(五間堀川)または第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) | pH、BOD、COD、SS、フッ素、ホウ素、亜鉛、n-Hex(鉱物) 水質負荷量 ・BOD 2.11(t) ・COD 5.14(t) 水質汚濁濃度 ・pH 最大7.70 最小7.20 ・BOD(mg/L) 最大3.00 最小0.60 ・COD(mg/L) 最大5.90 最小3.20 ・SS(mg/L) 最大12.0 最小5.00 |
法規制値 ・pH 5.8~8.6 ・BOD 120 ・COD 120 ・SS 150 |
桑名工場 | 公共水域(三孤子川)または第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) | pH、BOD、COD、SS、n-Hex(鉱物)、窒素、りん、フッ素、大腸菌群数、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素、アンモニア等 水質負荷量 ・BOD 0.33(t) ・COD 0.81(t) 水質汚濁濃度 ・pH 最大7.70 最小7.10 ・BOD(mg/L) 最大2.00 最小<1 ・COD(mg/L) 最大4.00 最小2.00 ・SS(mg/L) 最大<2 最小<2 |
条例規制値および自治体との公害防止協定規制値 ・pH 6.0~8.0 ・BOD 8 ・COD 8 ・SS 10 |
兵庫事業所 | 公共水域(瀬戸川)または第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) | pH、BOD、COD、SS、n-Hex(鉱物)、窒素、りん、亜鉛、大腸菌群数、ジクロロメタン 水質負荷量 ・BOD 0.20 (t) ・COD 0.30 (t) 水質汚濁濃度 ・pH 最大8.40 最小7.10 ・BOD(mg/L) 最大6.20 最小0.80 ・COD(mg/L) 最大6.30 最小1.00 ・SS(mg/L) 最大3.90 最小0.60 |
法規制値 ・pH 5.8~8.6 ・BOD 100 ・COD 100 ・SS 90 |
排水量
(千kL)
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
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すべての地域における総排水量 | 2373.6 | 2194.8* | 2022.2* |
排水先別 | |||
地表水(公共水域) | 1631.4 | 1525.0 | 1475.3* |
第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) | 742.1 | 669.7 | 546.9* |
水ストレスを伴う地域における総排水量(第三者の水) | - | 86.9 | 77.0 |
---|
- *第三者検証済みデータ
- ※現時点で排水している水はすべて淡水(総溶解固形分濃度が1,000mg / L以下の水)です
水消費
(千kL)
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
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すべての地域における総水消費量 | 1434.8 | 1542.6* | 1377.6 |
水ストレスを伴う地域における総水消費量 | - | 0.22 | 0.22 |
- *第三者検証済みデータ