水リスク低減への取り組み

水リスク低減への取り組み

TOYO TIREは、水の利用が人間の生活と福祉に必要不可欠であり、国連により人権として認められている権利であり、企業活動における水リスクが経営課題の一つであると認識しています。
水リスクへの対応について、全社横断的なワーキンググループ(WG)を設置し、方向性や目標・ターゲットなどアクションプランを協議しています。WGには、関係する事業組織の担当者が参集し、協議したアクションプランは取締役会から委任された経営会議(議長:社長)で承認され、グループ全社・全組織へ展開されます。
WGではCDP(シー・ディー・ピー)の水に関する質問書の内容を参考に、企業が取り組むべきウォーターセキュリティ対策の検討を進めています。当社グループは世界資源研究所のアキダクト(Aqueduct)が開示しているアキダクト・ウォーター・リスク・データ(Aqueduct Water Risk Data)を用いて、製造拠点の周辺において事業活動に対する水関連インパクトの特定を行い、インパクトの大きさに応じた効率的な水利用によって取水量・排水量の削減に取り組みます。また今回の評価で、現時点で水供給量が季節により変動するリスク、干ばつによる水不足のリスク、地下水が枯渇するリスク、および周辺地域で飲料水が確保できないリスクが高い地域における操業がないことを確認しています。現在および将来的に水関連インパクトが大きいと評価される地域で操業する拠点においては、水利用計画の見直しや作業工程における改善、リサイクル水の活用促進の検討を進めていきます。

共有資源としての水との相互作用

事業活動(製造)に対する水関連インパクトの特定

特定方法: 2020年2月末時点の「アキダクト・水リスク・アトラス」(世界資源研究所)による評価
評価対象地域: 当社グループが製造拠点を置く17の地域
評価結果: 諸城市(中国)周辺では、水の需要者の規模や水の供給量の年変動、周辺の排水処理インフラの整備状況などから、現時点でこの地域における水関連インパクトが非常に大きいと評価された。また、Chon Buri県(タイ)周辺でも、水の需要者の規模、過去の周辺河川の氾濫状況、周辺の排水処理インフラの整備状況などから、現時点でこの地域における水関連インパクトが大きいと評価された。また、2030年の予測結果として、この先も安定した経済発展が進む場合、水需要が諸城市(中国)およびGrad Beograd州(セルビア)の周辺では現在の1.4倍、Perak州(マレーシア)周辺では現在の1.7倍増加する見込みと評価された。

その他、現時点では当社グループにおいて、特に脆弱性が高いと専門家が認める水域や、国内または国際的に指定された保護地域など、生物多様性の観点から高い価値のある水源、地域コミュニティや先住民族にとって、高い価値や重要性があると認められている水源からの取水、およびそうした水域、水源への排水を行っている事業拠点が存在しないことを確認* しています。なお現時点で当社グループが報告するのに十分な精度の情報を得ることが困難な影響に対しては、今後水リスクの高まる恐れがあるエリアを優先して現状把握に努めます。

  • *特定方法:以下の情報を用いて特定。
    ラムサール条約湿地(Ramsar Sites Information Service)、世界遺産自然遺産(UNESCO-World Heritage Center)、自然環境保全地域(環境省)、国指定文化財等天然記念物(文化庁)

取水量・排水量の削減

当社グループは主に製造拠点においてボイラー設備、部品処理施設、生産部品の冷却、クーリングタワー(冷却塔)、厚生施設等で地方自治体の水道や他の公営・民間水道施設、および地下水を使用しています。取水・排水に関しては、製造拠点ごとに事業規模や取り扱う製品などの状況に応じて自主目標を設定し、各工程で使用した水を極力循環再生するように設備改善を進めています。

TOPIC
TOYO TIRE (ZHUCHENG) CO., LTD.:蒸気ドレンの完全リサイクルに成功
6.安全な水とトイレを世界中に

TOYO TIRE (ZHUCHENG) CO., LTD.が操業する諸城市(中国)周辺は水の需要者の規模から、国際機関の評価においても水リスクが高い地域とされています。
同社では大量の購入蒸気をタイヤ生産工程に使用していますが、節水対策として、水質に問題がない蒸気ドレン(蒸気が冷却されて発生する温水)を回収して再利用することで、取水量の削減を目指しました。その結果、全ての廃蒸気のリサイクルに成功し、年間10%以上の取水量を削減することができました。

取水量

(千kL)

2017年 2018年 2019年
全ての地域における総取水量 3891.5 3719.1 3737.3*
水源別
地表水(山水) 18.8 0.00 0.00
地下水 2909.9 2734.9 2726.8
第三者の水(地方自治体の水道や他の公営・民間水道施設から供給) 962.7 984.2 1010.5
水ストレスを伴う地域における総取水量 87.2
水源別
地表水(山水) 0.00
地下水 86.1
第三者の水(地方自治体の水道や他の公営・民間水道施設から供給) 1.10
  • *第三者検証済みデータ
  • ※2017年まで国内の1製造拠点において地表水(山水)を水源とする水を使用していました。しかし、当該地域においては降水量の季節変動幅が年々拡大しつつあり、今後も複数の気候シナリオ(気象庁)において、「冬季の無降水日数の増加が顕著となる」との予測がされていることから、事業継続に必要な量の水を将来的に安定して供給すること、および同じ水源の地表水を利用している周辺地域の水セキュリティへの配慮を目的として、2018年から水源を第三者の水(工業用水)に切り替えました。
  • ※現時点で取水している水は全て淡水(総溶解固形分濃度が1,000mg / L以下の水)です
【参考】社内管理目標と実績
  • 社内管理目標:取水量10%/5年削減(2018年度比)
  • 管理対象:TOYO TIRE株式会社(本社、仙台工場、桑名タイヤ工場、桑名自動車部品工場、兵庫事業所明石工場、基盤技術センター、タイヤ技術センター、自動車部品技術センター、タイヤテストコース)、福島ゴム株式会社、東洋ソフラン株式会社、綾部トーヨーゴム株式会社、オリエント工機株式会社(本社、仙台支社)
  • 管理単位:t
  • 2019年度実績:2018年度比1.30%減少

当社の製造拠点における排水に関するインパクトのマネジメント

当社製造拠点 排水先 水質管理項目 規制基準
仙台工場 公共水域(五間堀川)または第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) pH、BOD、COD、SS、フッ素、ホウ素、亜鉛、n-Hex(鉱物) 法規制値
桑名工場 公共水域(三孤子川)または第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) pH、BOD、COD、SS、n-Hex(鉱物)、窒素、りん、フッ素、大腸菌群数、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素、アンモニア等 条例規制値および自治体との公害防止協定規制値
兵庫事業所 公共水域(瀬戸川)または第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) pH、BOD、COD、SS、n-Hex(鉱物)、窒素、りん、亜鉛、大腸菌群数、ジクロロメタン 法規制値

排水量

(千kL)

2017年 2018年 2019年
全ての地域における総排水量 2601.8 2284.3 2194.8*
排水先別
地表水(公共水域) 1816.8 1542.8 1525.0
第三者の水(地方自治体の廃水処理施設) 785.0 741.5 669.7
水ストレスを伴う地域における総排水量(第三者の水) 86.9
  • *第三者検証済みデータ
  • ※現時点で排水している水は全て淡水(総溶解固形分濃度が1,000mg / L以下の水)です

水消費

(千kL)

2017年 2018年 2019年
全ての地域における総水消費量 1289.7 1434.8 1547.1*
水ストレスを伴う地域における総水消費量 - - 0.22
  • *第三者検証済みデータ
TOPIC
TOYO TIRE株式会社仙台工場の排水における高濃度次亜塩素酸ソーダの流出について

2019年10月2日、当社仙台工場からの排水が原因で、地域を流れる五間堀川で一時的に塩素濃度が高くなる事象が確認されました。
当社では本件の再発防止策として、水質汚濁防止法対象物質に関するリスク教育の徹底、異常発生時の対応方法の教育、および異常発見時の緊急連絡網の再確認を行いました。また塩素濃度連続測定計を設置し、異常時は工場外への排水を自動停止する仕組みの導入を行い、運用しています。
近隣地域・住民の皆様、関係行政機関の皆さまには、多大なるご心配とご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます。