サステナビリティ

持続可能なモビリティ社会の実現に寄与する・
豊かなモビリティライフを支え、創造する

取り組むべき課題

  • 環境貢献(CO₂削減):転がり抵抗低減、EV化対応、省資源
  • 安全・安心:メンテナンスフリー、摩耗診断
  • エアレスタイヤの事業化
  • 走りの愉しみ・嗜好性の追求

関与が大きいステークホルダー

直接的:顧客(消費者)、取引先、従業員、研究機関
間接的:株主・投資家、債権者、地域社会、NGO/NPO 、業界団体

取り組み方針

モビリティ社会が持続可能であって初めて、タイヤ・自動車部品メーカーのサステナビリティは確保されるという認識をもち、環境負荷の低減や交通事故の防止、効率的な移動・輸送を適えるサステナブルなモビリティ社会の確立に貢献していきます。加えて、そうした持続可能性に必要な要素を満たしながら、人々がモビリティライフに求めるさまざまな期待に、独自の製品やサービスを通じて応えていくことが、モビリティ社会の多様性を支える創造的付加価値と考えており、この実現を当社グループはめざします。

責任者(2025年4月現在)

取締役 執行役員 技術統括部門管掌

活動推進体制

技術統括部門を責任主管として、商品企画、生産管理、営業企画・各販売本部、DXの機能組織と連携し、中期経営計画の遂行と連動しながらサステナビリティ活動テーマの取り組みを推進します。技術委員会が取り組みの全体を統括し、サステナビリティ委員会に進捗報告を行います。

活動推進体制図

お問い合わせ窓口

  • ホットライン相談窓口(内部通報制度)…【対象】役員、従業員、取引先
  • お客様相談室…【対象】顧客(消費者)、地域社会
  • Webお問い合わせフォーム…【対象】顧客(消費者)、株主・投資家、NGO/NPO
    上記を窓口とした対応のほか、製品・サービスに関しては当社技術サービス部および、当社グループの販売会社や販売代理店が相談や苦情の受け付けを行っています。

活動を推進する主な資本(2024年)

  • 研究開発費: 13,587百万円 ※うち基礎研究費は1,716百万円
  • 研究開発時における環境保全に関する費用:585百万円
  • 合理化、品質向上および生産設備増強に対する設備投資:17,673百万円
  • R&D拠点:5拠点(日本、米国、ドイツ)
  • 日・米・欧 3極R&D機能連携により独自技術を強化し、「差別化商品」を開発、展開しています。このほか、多くの大学や研究機関と共同研究を行っています。

モビリティの環境負荷低減

モデルチェンジごとの低燃費性能のグレードアップ

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、自動車のCO₂排出量の削減はサプライチェーン全体で取り組むべき課題です。当社は、タイヤ1本あたりのCO₂排出量について、2030年時点において2019年比20%の削減貢献をめざすことを目標に掲げ、商品開発にあたっています。
商品企画部門は、中期商品計画に基づいて重点(基幹)商品のモデルチェンジを企画する際、販売部門と連携して各市場の動向を注視しながら、低燃費性能を含め、EVにも対応できる機能・性能のグレードアップを開発要件に織り込みます。技術部門は自動車業界の動向やタイヤに求められる性能・機能レベルを見越して、中長期スパンで基盤技術のアップデートを積み重ね、商品企画の具現化に高次元で応えられる技術開発態勢を整えています。商品ラインナップにおける低燃費性能の向上を継続的に図り、モビリティの環境負荷低減に貢献していきます。
2025年4月には、OPEN COUNTRYシリーズの特長である意匠性に、静粛性と低燃費性能を兼ね備えたハイウェイテレーンタイヤ※1「OPEN COUNTRY H/T Ⅱ」を国内市場向けに発売しました。国内のSUVの市場拡大に合わせて同シリーズを国内市場に投入後、アグレッシブなパターンデザインと街乗りに適した性能も兼ね備えた商品ラインナップの充実を求めるユーザーからの声が販売店などに数多く寄せられたことを受け、開発したものです。「Nano Balance Technology」を用いてゴム強度を向上させるシリカを増量するとともに、その分散性を高めるスーパーアクティブポリマーを採用することで、低燃費性能、ウェット性能及び耐摩耗性能を高次元で最適化しました。燃費改善に寄与する転がり抵抗は当社従来品の「OPEN COUNTRY A/T EX」比で17%低減しています。

  • ※1 オールテレーン(全地形)カテゴリーに比べ、舗装路や高速道路のオンロード走行に適した静粛性、乗り心地をより向上させたカテゴリー

OPEN COUNTRY H/T Ⅱ

■転がり抵抗(INDEX)

OPEN COUNTRY H/T Ⅱ 83 17%低減 OPEN COUNTRY A/T EX

【評価条件】
・試験場所:当社室内ドラム転がり抵抗試験機
・タイヤサイズ:OPEN COUNTRY A/T EX 225/65R17 102H, OPEN COUNTRY H/T II 225/65R17 102H
・リムサイズ:17X6.5
・空気圧:210kPa
・荷重:6.67kN
・速度:80km/h

  • ※ 上記テストの詳細デ-タは、タイヤ公正取引協議会に届けております。
  • ※ 本テストの結果は同様な条件下であっても、必ずしも同じ結果が得られるとは限りません。

独自のEV戦略

世界のEVシフトは鈍化傾向にあるものの、EVが自動車のCO₂排出量を減らすための有効な選択肢の一つであることに変わりはなく、各国・地域のエネルギー事情や自動車の用途に合わせた普及が進んでいくと想定しています。
例えば、日本国内のCO₂排出量を部門別に見ると、運輸部門が全体の約2割※2を占めており、輸送業界ではモーダルシフトなど脱炭素化に向けた取り組みが本格化しています。輸送車両のEV化も進んできており、商用車メーカー各社においてもEVトラックのラインアップが強化され始めました。また、大手の荷主や運送会社に対し、非化石エネルギーへの転換が義務づけられたことから、EVトラックは今後さらに需要の増加※3が見込まれています。
このような動向を捉え、当社は、2024年6月に国内市場向けに小型EVトラック専用リブタイヤ「NANOENERGY M151 EV」、9月には国内市場初の小型EVトラック専用スタッドレスタイヤ「NANOENERGY M951 EV」を発売しました。
EVは1回の充電で可能な航続距離が重視され、タイヤにはこれに貢献する低燃費性能(EV向けタイヤではいわゆる「低電費」性能)が求められます。また、EVは、バッテリーの搭載による車両重量の増大やパワフルな駆動力による加速性能の向上によってタイヤへの負荷が高くなるほか、回生ブレーキ※4の使用による操縦性の変化などの特徴を持つため、EV専用のタイヤ性能が求められます。
これらの商品開発においては、「Nano Balance Technology」のナノ加工技術によって生み出された「Nano Composite Polymer」を採用して最適なコンパウンドを設計し、転がり抵抗の低減に加え、耐摩耗性能を向上させました。特に、「NANOENERGY M151 EV」では、タイヤや車両が走行中に受ける空気抵抗をあらかじめ予測して商品設計に生かす当社独自の「空力シミュレーション」を初めて、トラック・バスタイヤ設計に採用し、空力特性※5を最適化しています。
これら2商品は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2024年度グッドデザイン賞において、輸送業界のEV化に伴う需要にデザイン面からアプローチした点と、性能向上と耐久性向上を高い次元で両立した点が高く評価され、受賞しています。

GOOD DESIGN AWARD 2024 NASOENERGY M151EV NASOENERGY M951EV

モビリティの安全・安心

安全性能と環境性能の両立

日本国内では、Eコマース市場の成長により小口配送をはじめとした物流需要が増加している一方で、2024年4月に働き方改革関連法が施行され、ドライバーの時間外労働時間の上限が引き下げられたことに伴う未経験ドライバーの採用増加などを背景に、輸送車両やタイヤでのより高い安全性能が求められると認識しています。
当社は同年6月に、小型トラック用リブタイヤにおいて、耐摩耗性能と低燃費性能を両立し、ウェット性能も高いレベルで維持した「DELVEX M135」を国内市場向けに発売しました。独自のパターン設計で積車時から空車時まで幅広い荷重域でのグリップ力を確保し、「Nano Balance Technology」を用いて開発した「耐摩耗専用LTコンパウンド」により、小口配送が主体の小型トラックに最も重要と考えられる耐摩耗性能とウェット性能はもとより、低燃費性能も向上させました。当社従来品の「DELVEX M134」比で、推定摩耗ライフは32%向上し、転がり抵抗は同16%低減しています。

DELVEX M135

耐摩耗性能 実車評価で推定摩耗ライフが従来品比32%向上

【テスト条件】
・評価サイズ:205/85R16 117/115N
・場所:TOYO TIRE(株)タイヤテストコース近郊の一般道
・走行距離:12,000km
・使用車両:3tトラック(いすゞエルフ TRG-NPR85AR)、排気量:2.99L、車軸配列:2-D
・リムサイズ:16X5 1/2J
・空気圧:600kPa
・ローテーション:あり
・評価方法:リア軸の総平均推定摩耗ライフを比較
(取り外し残溝1.6mmで計算)

  • ※ 本テストの結果は同様な条件下であっても、必ずしも同じ結果が得られるとは限りません。
  • ※ 上記テストの詳細データは、タイヤ公正取引協議会に届けております。

転がり抵抗が従来品比16%低減

(計測方法)
当社室内ドラム試験機(転動抵抗試験機)による転がり抵抗値を測定。
(テスト条件)
・評価サイズ:205/85R16 117/115N
・場所:TOYO TIRE(株)タイヤ技術センター
・試験装置:ドラム式転がり抵抗試験機
・試験法:UN R117 フォース式
・リムサイズ:16X5 1/2J
・空気圧:600kPa
・荷重:10.71kN
・速度:80km/h

  • ※ 本テストの結果は同様な条件下であっても、必ずしも同じ結果が得られるとは限りません。
  • ※ 上記テストの詳細デ-タは、タイヤ公正取引協議会に届けております。
  • ※ 転がり試験低減率と実際の燃費低減率の数値は一致するものではありません。

天候や路面の変化への対応

近年、日本や欧州などで見られている暖冬傾向は冬季の路面に変化をもたらしています。気温の高低差が大きいために、降雪時には、日中の気温の上昇で雪が解けてシャーベット状態になり、気温が低下する夜間には凍結してアイス状態になるといった、溶けたり凍ったりを繰り返すことで滑りやすい路面が発生するケースが増えており、スタッドレスタイヤにはその状況に対応できる性能の強化が求められます。
なかでも、自動車の安全走行に大きく影響するアイス性能の向上に注力してきた当社は、2024年8月に、アイス路面でのブレーキ性能や発進時のトラクション性能を進化させ、その効き目がより持続するスタッドレスタイヤ「OBSERVE GIZ3」を国内市場向けに発売しました。「T-MODE」によりスノー予測技術を活用した新しいパターン設計と、新規素材の「持続性高密着ゲル」「サステナグリップポリマー」を配合することで低温でも柔らかさが維持されるゴムの採用により、アイス路面へのタイヤの密着性を向上させました。アイスブレーキ性能は当社従来品の「OBSERVE GIZ2」比で22%向上しています。

アイスブレーキ性能従来品比22%向上

【評価条件】
・場所:冬季タイヤテストコース
・サイズ:195/65R15 91Q
・車両:トヨタカローラHB(ABS付き)
・排気量:1800cc
・駆動方式:4WD
・リム:15X6
・空気圧:250kPa/240kPa
・路面の種類:氷盤路面
・試験方法:速度20km/hの直進走行からフルブレーキングし、停止するまでの距離を計測

  • ※ アイス路面での評価のため、環境条件によって性能のバラツキが発生します

走りの愉しみを提供し、多様なモビリティライフを提案

タイヤの基本性能や持続可能性の要件と同時に、走りの愉しさや高い意匠性を追求する技術開発と商品化によって、人びとのモビリティライフの質的な豊かさを支えていくことが当社の存在意義であると考えています。
当社は、日本国内でのSUVの市場拡大とともに多様化するユーザーニーズに合わせて、主力ブランドであるOPEN COUNTRYシリーズのラインナップを拡充しています。
2025年3月に国内市場向けに発売した「OPEN COUNTRY R/T TRAIL」は、不整地や泥濘地などの本格的なオフロード向けのマッドテレーンと、オンロード/オフロードのバランスを重視したオールテレーンの中間に位置するラギッドテレーンタイヤで、このタイヤカテゴリーのパターン設計を他社に先駆けて開発した当社ならではの特長を有します。印象的な意匠性とオフロードレース参戦を通じて磨き上げたパターン技術により高いトラクション性能やノイズ抑制により快適性を両立させています。さらに、ビードワイヤー等にはレースで検証済みのサステナブルな再生材料を採用しています。2024年11月にメキシコで開催されたBAJA1000では、当製品を装着したLEXUS LXで参戦した「TEAM JAOS」がStock Full Size部門でクラス優勝を達成しています。
また、2025年4月に発売した「OPEN COUNTRY H/T Ⅱ」は、意匠性にこだわりながら、舗装路や高速道路のオンロード走行に適した静粛性と低燃費性能も実現した商品です。

OPEN COUNTRY R/T TRAIL

【TOPIC】

OPEN COUNTRY R/Tがみんカラ「PARTS OF THE YEAR 2024年間大賞」
タイヤ(SUV/4X4)部門で3年連続殿堂※6入り

「みんなのカーライフ(みんカラ)」は、株式会社 LINEヤフーが運営し、クルマ好きのユーザーがクルマにまつわるさまざまな話題を投稿して交流する日本最大級の自動車専門SNSです。
ユーザーが投稿したパーツレビューの数と評価点を独自に集計し、上半期と年間の年2回、「PARTS OF THE YEAR」として支持率の高い商品をランキング化して発表しています。「OPEN COUNTRY R/T」は2017年の上半期大賞から連続して上位入賞を続け、2022年の年間大賞で初めて殿堂入りし、今回の受賞で3年連続の殿堂入りとなりました。今後も市場におけるトレンドやユーザーのインサイトを的確に把握し、独自性の高い魅力ある商品の開発に取り組んでいきます。

OPEN COUNTRY R/T みんカラ殿堂 2024年 タイヤ・ホイール SUV/4X4 部門
  • ※6 過去数年間のPARTS OF THE YEARの結果に基づいて、不動の支持を集め続けたパーツに対して贈られる称号

社会変容とモビリティの進化に対応する価値提供に向けて

IT・データの活用や自動運転などモビリティの進化、社会変容に伴う人びとのモビリティライフの変化がより現実的になってきています。当社はモビリティを取り巻く環境に適合した安全・安心を提供するため、必要となる技術や新たな製品・サービスの開発に取り組んでいます。

エアレスタイヤによるメンテナンスフリー

ガソリンスタンドのセルフ化、EVの自宅充電、カーシェアリングの普及など、専門家によるタイヤメンテナンスの機会の減少は進んでいくと考えられます。また、省エネ・省資源の観点から自動車の軽量化が求められるなか、スペアタイヤがなくても安全・安心を提供していくことは次代のモビリティ社会に対するタイヤメーカーの挑戦です。当社はエアレスタイヤによるメンテナンスフリーとスペアレスソリューションの具現化をめざしています。
エアレスコンセプトタイヤ「noair(ノアイア)」は、高い耐久性と空気入りタイヤに近い操縦性を実現し、エアレスタイヤとして乗用車に装着して走行が可能なレベルに到達しています。実用化に向けた施策の一環として、ラストワンマイル輸送現場での試走を行っています。
また、2025年国際博覧会協会の開催・運営に関わる関係者の会場内移動の時間短縮・効率化に寄与できるモビリティとして、noairを装着した電動カート車両を提供しました。公道走行に関する法規制の動向を注視しながら、グリーンスローモビリティーへの適用など、実用化に向けた実証実験、さらなる性能向上を進めています。

実証実験の様子

エアレスコンセプトタイヤ
「noair(ノアイア)」