防振ゴム問題の経緯と原因について

2015年12月25日公表分

今回の防振ゴム問題の背景や経緯を調査するため、当初、法務部門を中心に、関係者の社内ヒアリングを始めておりましたが、外部法律事務所にもご協力をいただき、共同で調査を行なう「社内調査チーム」として、本件の原因究明にあたってまいりました。

不正が行なわれた経緯

不正行為の種類について

  • ①データ改ざん行為
  • ②過去データ転用行為
  • ③過去データ転用後修正行為
  • ④規格外時過去データ転用行為
  • ⑤ブレンドゴム計算式使用行為

※上記は、以下に記載する「不正行為が行なわれた期間」の表内番号と対応しています。

詳しくは「調査報告書」をご参照ください。

不正が行なわれた原因

不正が行なわれた原因については、実際の実行者、関係上位者、両方の側面からアプローチして整理しました。

材料検査の実施者・検査成績書の作成者が不正行為におよんだ主たる原因

材料検査の実施者・検査成績書の作成者は、不正行為におよんだ動機として、主に下記3点をあげています。

  • 品質保証課の業務が過多であったこと
  • 検査成績書作成依頼から完成すべき時期までの期間が短く、かかる期限について他部門からのプレッシャーがあったこと
  • 業務引継ぎが不十分であったこと

これらと事実認定を踏まえた場合、材料検査の実施者・検査成績書の作成者が不正行為におよんだ主たる原因は、以下の点があげられます。

材料検査の実施者・検査成績書の作成者の規範意識が低かった
業務過多や上長による管理不足があったとはいえ、長期間にわたり不正行為が継続されていたことに表われている
材料検査の実施や検査成績書の作成業務に関して人員を含むリソースが不足していた
2008年以降、品質保証課の人員を削減したことに起因し、品質保証課の業務量に比して人員が不足して業務過多となった。一方で上長らにおいて、増員などにより業務過多を迅速かつ有効に解消することもなかった。
あるべき業務が明確化されていなかった
材料検査の実施および検査成績書の作成に関し、実現可能な業務工程が設計されておらず、また、確たる社内マニュアル等が作成されておらず、各人が前任者や同僚から伝えられた方法や自ら考案した方法で業務を行っていた。
材料検査の実施者・検査成績書の作成者の行動規範を醸成するための社内教育が不足していた

いずれにしても当人の規範意識の低さが大きな根本のひとつであり、また一方で、業務環境として、適切さを欠く業務過多状態であったことがいえます。このほか、基本的に業務に対する最低限の手順やルール設定が未整備であったこと、 そもそもの社員教育が不十分であったことが指摘できます。

関係上位者・管理者が不正行為を早期に発見し根絶できなかった主たる原因

不正行為の実行者の上長、および課長以上の管理者については、これらの不正行為が行なわれたことを認識しながら(あるいは容易に認識し得たにもかかわらずこれを怠り)、十分な職責を全うしていなかった可能性が相当程度認められます。これらの者が不正行為を早期に発見し、根絶できなかった主たる要因は、以下の点があげられます。

上長ないし管理者として、通常持つべき業務に対する責任感を欠いていた
組織としての管理体制に不備があった
2013年から2014年にかけて、少なくとも、品質保証課における材料検査の結果が、過去に欠損していたことについて相当上位の上長、ないし管理者が把握していたにもかかわらず、結果として迅速かつ十分な対策が取られず、適切な原因究明も行われず、当社として不正行為を把握するに至ることがなかった。
かかる部下ないし同僚とのコミュニケーションが不足していた
上長ないし管理者においては、部下ないし同僚と必要なコミュニケーションを行い、業務過多などの業務上の問題点を把握することが求められるところ、かかる部下、ないし同僚とのコミュニケーションが不足していた。
上長ないし管理者において技術に対するあるべき知識が不足していた
検査成績書の承認者として、その内容を最終レビューする責任があり、あるいは、自ら管掌する業務について一定の技術的な知識を持ったうえで監督する責任があるにもかかわらず、上長ないし管理者において技術に対するあるべき知識が不足していた。

上長としての責任感の欠如、組織としての管理体制の不備、職場内でのコミュニケーション不足、管理者として持つべき技術に対する知識を欠いていたことなどが、 調査の結果浮き彫りとなりました。