それぞれの道を走り続けてきた二人が
同じ雪面に立つ。

その滑りはスノーボードがスポーツを超えた
ライフスタイルや自然への尊敬を
示すものであることを静かに物語っていた。

自然と共にある喜びと
滑走の美しさが交差したその日
雪に刻まれた軌跡は、
挑戦し続ける二人の哲学と
スノーボードの
本質を映し出す貴重な瞬間となった。

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玉井太朗とテリエ・ハーコンセン 
二人のレジェンドが
その日、スノーボードで語り合った

--- 昨日はお二人で滑ってみていかがでしたか?

テリエ・ハーコンセン(以下 T.H):

昨日の雪は最高に良かったよ。波みたいな地形を見つけたしね。

玉井太朗(以下 T.T):

メローだった。

T.H:

僕は、自然の波のような地形を滑るのが一番好きなんだ。
昨日は、雪庇が張り出したところがすごく良かった。

--- 同じスノーボードの世界で、異なる道を走り続けてきたお二人だと思いますが、
実際に会う前から、お互いのことは知っていましたか?

T.H:

90年代後半に何度かニセコに来ていたんだけど…また戻ってくるまでには、しばらく期間が空いていたんだ。
戻ってきた頃には、玉井さんはすでにニセコで活躍していて、最高の映像や写真を目にしたよ。
その後、太朗さんと出会って、デザインの追求に興味を持つようになった。
彼はスノーボード制作に対して素晴らしいアイデアに満ち溢れていると思う。
手先も器用だしね。

T.T:

彼はメジャーブランドのスーパースターだったし、実際に彼のアラスカでのライディングを目の当たりにして。
多くの人はビデオでしか見たことがないから伝わらないだろうけど、彼の滑りは相当凄いわけですよ。
それには感動したし、「素晴らしい」と思ったね。「こんな奴がいたんだ」って。
あと大会とかね。彼はスノーボーダーのためのスノーボーダーがやる大会を立ち上げて、
俺はスノーボーダーのためにスノーボードを創る。

--- 今まで訪れた場所で一番インパクトがあった場所はどこですか?

T.H:

アラスカ。玉井さんも多分同じことを思うだろうけど、当時のアラスカは鮮烈で最高にエクストリームだった。
1本滑って自分のラインを見上げると「人生で最高の滑りだ!」って思うんだけど、
もう1本滑ると「いや、これこそ人生で最高の滑りだ!」ってなるんだ。
とにかく本当に強烈なんだよ。人生最高の瞬間でもあり、同時にかなり緊張感もある。

T.T:

体の髄までインパクトが残っているという意味では、アラスカでの初期の体験が全てかなと思う。
それが、人生の価値観になっている気がする。
でもまた同時に、自分たちの地元、日本の雪の素晴らしさもそれによって感じることができた。
いい体験だったなと思う。

--- 「普段の滑り」と「撮影している時の滑り」何か違いがありますか?

T.H:

部分的にはあるかな。長年そればかりやってきたからね。
若い頃は背景とか周りの自然なんて気にせずに、トリックだけを撮ってたんだ。
トリックを撮りたいのに、フォトグラファーが背景の山を撮るために止まったりすると、イラついてた。
「俺たちは自然の映画を撮ってるんじゃないんだぜ!トリックを撮れよ!」って本気で思ってた。
でも、今はパワフルなライディングやターンの力強さを表現したいんだ。
カメラ技術が進歩したおかげで、今までよりも美しい映像が撮れるようになったから、
スノーボーディングと自然の美しさを伝えることができると思ってるんだ。

T.T:

カメラの位置があって、それが頭に入ってるから、
地形的にはここでターンすればベストだけど、カメラの位置とバックグラウンドの環境を考えたら、
もう何メートルか向こうでターンした方が絶対いいのかな、フレームできるのかなっていう。
そういう意識は絶対ある。カメラ回ってると。
でも今はあんまり考えない。もう一番いいところでターンするしかないんですよ。

--- お二人にとってこれからの未来や挑戦したいこと、目指していることは何ですか?

T.H:

これからは旅は年に2、3回に留めておいて、もう少し持続可能な生活を送りたいかな。
スローなペースで、住んでいる場所をもっと楽しむような生活をしたいと思っている。
個人的なゴールは、もっとサーフィンすることだね。子供たちにサーフィンも教えたいし。
山の楽しみ方も伝えたい。「必ずしも競い合う必要はないんだ」とね。
大切なのは、海でも山でも自分に自信を持つことだと思う。
それを子供たちに伝えることができれば、親として成功した気分になれると思うし、
子供達も仲間とそれを分かち合えるようになると思うんだ。

T.T:

今の暮らし。とにかく水を追いかけた暮らし。できる限り、波に乗って、雪に乗って、川を歩く。
一見多趣味に見えるかもしれないけど、実はテーマは一つで、水を追いかけていくっていうだけなんだけど。
旅をして知らないものを探していくというよりも、
あるものを深く掘り下げていくという事をしたいと思っている。
そのためには、その環境にじっくりいるということをしていきたい。
例えばボードのデザインをするにしても、いろいろなことを考えるにしても、
動き回っているとそれができないから、できる限り落ち着いた環境にいる時間を多くして、
自分の中に入ってくるものを増やし、正しいアウトプットをしていきたいと思っている。
それをずっと続けることが目標かな。続けることが重要かなと思ってます。

--- あなたにとってスノーボードとは

T.H:

言葉で表現するのは難しいよね。
最高の時と過去。そして未来。
僕は宗教的な人間では無いからスノーボーディングを信じることが、
他の何かを信じることよりも意味があると思ってるよ。
太朗さん、スノーボーディングはあなたにとって何?

T.T:

「LIFE」
人生のそのものなんじゃないかな。
まあ、俺たちは動物じゃないから。ただ食べるために生きてるわけじゃないから。
それができるのは人間だと思うんだけど。
要は食べるためだけのことしか、しないわけじゃなくて、
人間らしくいるための道具にスノーボードはなるんじゃないかなと思ってます。
それの、一番シンプルな形がまあスノーボードだったり、
サーフィンだったりするんじゃないかなと思うから。
それは生きる意味なのかなって。

TARO TAMAI/玉井太朗

GENTEMSTICK主宰。日本のスノーボード界を切り拓いた先駆者。雪と波を「人間と地球の接触点」と捉える独自の哲学を持ち、その思想は彼の手がけるボードデザインに体現されている。新たなライディングスタイルを切り拓き続ける彼の挑戦は、世界中のスノーボーダーに深い影響を与え続けている。

TERJE HÅKONSEN/テリエ・ハーコンセン

スノーボード界に革新的な技術とスタイルをもたらした伝説的スノーボーダー。圧倒的なエアテクニックで知られ、数々の国際大会で優勝を重ねた。1998年のオリンピック辞退や自身の大会「アークティックチャレンジ」創設など、競技の枠を超えた活動で、今もなおその存在感を示している。

TOYO TIRES  OBSERVE W/T-R

荒れた氷雪路や雪深い路面での走破性を追求したSUV専用スタッドレス

NISEKO / HOKKAIDO

All photos by Tsutomu Nakata

Special Movie-スペシャルムービー-

TARO TAMAI / TERJE HÅKONSEN/TWO LINES CONVERGE/インタビュー編(14分40秒)

TARO TAMAI / TERJE HÅKONSEN/TWO LINES CONVERGE/ライディングフィルム編(3分13秒)

それぞれに走り続けてきた二人のレジェンド。
挑戦し続ける者同士だからこそ共鳴する。
これからもTOYO TIRESは
雪山を愛する人たちと共に走り続けます。

TARO TAMAI | TERJE HÅKONSEN TWO LINES CONVERGE | TOYO TIRES