宮城県仙台市 仙台長なす生産者
千葉英明さん
東日本大震災の時、いろいろな地域で復興の手伝いをする中で、あらためて一次産業の力強さを実感しました。そして「そうだ、自分の身近にもあるじゃないか」と気づき、本気で農業をやってみようと思ったんです。現在、多品目少量栽培型でやっていますが、中でも、伝統野菜には特にこだわっています。
なすの栽培の難しさは、連作障害が発生すること。つまり同じ場所に続けて植えられないんですね。かと言って接ぎ木という方法をとると、連作はできるのですが、父親の言葉を借りれば『香りが変わる』んです。もうそれは仙台長なすではない、と。ですから、うちでは収量を度外視して土地を休めながら輪作しています。あえて手間のかかる路地栽培をしているのも、夜露にあてて美味しく育てるため。伝統を守るのはなかなか難しいことですが、それだけにやりがいと誇りを感じます。
父母たちが頑張ってくれたおかげで、地域の中にお得意さんも増えてきました。自分が一生懸命仕事をすることで、伝統野菜に取り組む若い農家の輪がもっと広がるといいですね。
野菜づくりは自然が相手なので大変ですが、やっぱり楽しいです。うまく育ってくれた時はもちろん、うまくいかなかった時も。
だからこそ一回一回に全精力を注ぎ込む。そんな想いで毎日畑に出かけています。
TOYO TIRE株式会社 精練課 混合係
渡邉兼司
タイヤは様々な原材料を混ぜ合わせた『混合ゴム』でできています。天然ゴムや合成ゴム、カーボンブラックやシリカなどのゴム補強剤、さらに加硫促進剤や軟化剤などが加わります。
これらを正確に混合することが、我々精練課・混合係の仕事。まず原材料とゴムをバンバリーミキサーで混合します。その混合ゴムをシート状にした後で十分に乾燥と冷却を行い積み取ります。硫黄などを添加して再びバンバリーミキサーで混合し未加硫ゴムに。そして次工程に送り出します。
タイヤは商品によって、また『トレッド』『サイドウォール』などの部材によっても原材料の種類や配合が異なります。配合を指示するスペックは100種類以上あり、現在ではすべて機械によって正確に計量・配合されていますが、それでも全く同じにはなりません。温度などによって微妙に柔らかさなどに影響が出てしまうからです。ですから、最終段階の配合ゴム検査で加硫度などを厳しくチェックし、その均一性を担保しています。
入社以来25年、多くの作業が機械化されましたが、だからこそ技術の伝承と人材の育成が大切だと痛感しています。ものづくりの基盤はやはり『人』ですから。混合係全員に「品質の基盤を作るのがこの工程なんだ」という意識を徹底させ、精度の高い混合ゴムづくりに精進していきたいと考えています。
ここ宮城から、世界に驚きと感動を届けたい。一本のタイヤに、技術と情熱のすべてを込めて。日々、新たな挑戦を続ける仙台工場の様子をご覧ください。